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腰痛は二足歩行をするようになった人間の宿命であるのか?
  • 2013/05/04
  • からだの使い方

こんにちは、稲田です。

腰痛は二足歩行をするようになった人間の宿命である。

この言葉は今でもほぼ定説のようにいわれている文句ですね。

あなたもそう思いますか?

もう何年も前になりますが、NHKスペシャルという番組で「病の起源」シリーズというのが放映されていました。

番組の意図としては、二足歩行が腰痛の原因なのかということに疑問を投げかけ検証していくということでした。

現代の日本に生きる私たちの社会で、痛みの疾患第1位はダントツで腰痛です。

その経済的な損失も腰痛などの痛みで3700億円もあるそうです。

そんな腰痛という症状が一体いつから起こるようになったのか。

はたして二足歩行になったのが原因なのか。

それを探るために時間を遡り民族の違いを調査した番組でした。

たしか、メソポタミヤの遺跡から出土した人骨に腰痛の痕跡があったことが発見されました。

これは、農耕をするようになった人類が腰を曲げて長時間作業をするようになったのが始まりだろうと推察されています。

腰痛は二足歩行をするようになった人間の宿命であるのか?

そして、おもしろいなぁと思ったのが、

現在のアフリカのある狩猟採集民族に対して腰痛があるかどうかの現地調査をした結果でした。

彼らは一日に何10キロも獲物を追って歩き回ります。

それでも、今までに腰痛を経験したことがあると答えたのはたった2人だけでした。

腰痛は二足歩行をするようになった人間の宿命であるのか?

しかし、よく聞いてみると木から落ちたりして腰を打って傷めたということで、日本人が一般に経験するような腰痛症はなかったということです。

これはどういうことでしょう。

狩猟民族は適度に椎間板が刺激されてみずみずしさを保つので劣化が防げる。

農耕民族の場合は同じ姿勢の作業が続くので椎間板や椎間関節、腰部の筋肉にストレスがかかって腰痛を引き起こしていた。

と考えられますね。

現代日本の街で暮らす私たちは、農耕作業はしていません。

でも、デスクワークなど同じ姿勢で作業しますし、移動は車や電車を使うので身体をめいっぱい使って生活することは確実に少なくなっています。

それに加えて精神的なストレスを絶えず受けながら暮らしているわけです。

生活環境や生活習慣が腰痛の原因と考えたほうがよさそうです。

人間の二足歩行の人体デザインは、本来歩いたり走ったり、登ったりするために最適なように造られています。

腰痛は二足歩行するようになった人間の宿命とは言えない。

つまりは身体の使い方の問題じゃないでしょうか。

また皮肉なことに、脳が発達したおかげで、慢性痛にみられるような脳そのものが痛みを作り上げるということも起こっています。

思考や感情などの見えないけれども体に影響を及ぼしている要因も考慮していく必要がありそうです。

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