コラムColumn
- 機能の改善がなぜ大事だと思う?
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- 2015/01/09
- 見立てのスキル
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こんにちは、稲田です。
代替医療の現場にいると、世間で常識と考えられていることを疑ってみる機会が結構あります。
たとえば腰痛を例にとると
・腰痛の原因は椎間板の変性やヘルニアなどの構造の異常による
・神経が圧迫されて痛みが起きる
・骨盤の歪みが腰痛の原因
これらはすべて、痛みの原因は構造(形態)の変化によるものと考えられているんですね。
整形外科の先生がいうんだし、また整体の先生は歪みが原因っていうもんだから、一般の方はそう信じますよね。
椎間板は、もちろん加齢と共に変性が増えますが、だからといって痛みの増加とは比例していません。
これは膝の痛みが、半月板の損傷では必ずしもないことと同じです。
無症候性の椎間板ヘルニアや半月板の損傷は、60歳以上では40%以上あるというデータもあります。
また、生理学的には、神経が圧迫されて痛みが出るということは認められていません。痛覚受容器の研究で世界的な第一人者の熊澤孝朗博士は
神経線維は通常、その末端にある受容器から信号を伝えるものであって、その途中が興奮を起こしたりするようなことはありません
と述べられています。
痛みを知る (いのちの科学を語る)
また、整形がだめだから整体を受けに行ったら、「痛いのは骨盤が歪んでいるからですよ」といわれた方も多いですね。
そのせいか、骨盤の歪みを気にする方って多いです。
骨盤の非対象性と腰痛とは、どのような臨床的意義においても関連がない
これは1999年の「Spine」誌に掲載された調査論文の結果です。
え〜、そんなはずないでしょー!
って整体の先生なら思いますよね。
よく読むと、これは骨盤の非対象性のことを言っています。
左右のASISとPSISの高さや距離を測って、腰痛患者と健常者とを比較したんですね。
なので補足しときますが、ここで言っている骨盤の歪みと骨盤機能障害とはまた別ですからね。
こうしてみると、まだまだ構造の変化が痛みの原因だと解釈され、診断・治療されているのがわかりますね。私たちの身体は、構造の変化に対して代償という機能でバランスを保とうとします。
この代償性がうまくいっている間は、なんとかやり過ごせるわけです。
その間も、おそらく何らかの不快な症状をからだは感じているはずです。
もしかすると、当の本人は気づかないかもしれませんが。
そして、代償性がもう限界に達した時には、痛みの症状がなかなか回復しなくなるんですね。
治療院に来られるのは、だいたいこの段階です。(><;)
治療のための戦略としては、短期的にはもちろん痛みの緩和を目標にした治療が求められます。
でも、長期的な視点に立つと、その方のアライメントの整合性や重心のバランス、関節や筋の機能向上を目指すことが再発を防ぐ最善策です。
ここを理解していただくのが、一番たいへんなんですが。。。
つまり、
代償による機能の変化、機能障害が痛みなどの症状の大元にあって、変性や変形などの構造の変化は結果に過ぎないんです。
だから、機能の改善が大事なんですよ〜。
もしもすでに構造に変化をきたしていたとしても、機能の改善は可能です。
もちろん、慎重に対応するケースはありますが。
からだ道場で教える身体のしくみの学びでは、ある原則が根底にあるんです。
それが、機能の体現は機能を改善するです。
お兄ちゃん、がんばりんさい。機能の体現じゃけん
い、いけん、いけん。もうちっと押しあげてつかぁさぁ〜い
(まっさん風えせ広島弁^^)