コラムColumn
- バランスを取り安定させるためにゆるみましょう!?
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- 2013/09/09
- イメージとからだ
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こんにちは、稲田です。
バランスのいい姿勢、バランスのいい動き、身体のことを語るときにこのバランスということをよく言いますね。
あなたの場合はどのようにバランスをとり、安定させていますか?
筋力をアップして、身体の強度を高めることによってでしょうか?
バランスをとるためにはもっと強度を高めないといけないと思いがちです。
腰痛をもっている患者さんに、身体のバランスの崩れを指摘すると、必ず帰ってくる返事があります。
それは・・・
「じゃあ、もっと腹筋と背筋を鍛えないといけませんね。」なんですよ。
また、運動指導をされている現場でも、最近は体幹とかコアを鍛えましょう、というのが流行っていますね。
サッカーのセリエAで活躍している長友選手なんかも、体幹を鍛えてフィジカル的に外国選手に負けないようになったといわれています。
実際、コアを鍛えることで安定感は向上します。
ただここで言いたいことは、バランスが取れている時というのは、頑張っていない時で、力が入っていない時だということです。
バランスを失った時には筋肉を使って立て直しますね。
つまり、力が強ければバランスが取れて安定する、というイメージは現実にそぐわない幻想なんです。
ところで、話は変わりますが、昨日2020年のオリンピック開催が東京に決定しましたね。
いや〜チームジャパンのみなさん、素晴らしかったです。ヘ(゜∀゜*)ノ
そのオリンピックで思い出したのが、1988年のソウルオリンピック陸上100m決勝で競い合ったカール・ルイスとベン・ジョンソンのことです。
ベン・ジョンソンの走りはまるで弾丸のように体幹がぶれないで、筋肉のかたまりがそのまま突進していくようなイメージで、9秒79当時の世界最速を記録しました。
僕もあの時は「すげ〜なぁ、やっぱりパワーの強いのが勝つんだー」と感心したものです。
カール・ルイスのあのしなやかな走りがかすんで見えましたもん。
けれど、その後になってべン・ジョンソンのドーピングが発覚して金メダルをはく奪されましたよね。
この事件がなければ、僕ももっと体幹重視に傾いていたかもしれません。(^_^;)
ただ、体幹を鍛えるのがいいとか悪いとか言ってるんじゃないですよ。鍛えることも抜くこともどちらも大切だと思います。
どちらかに偏りすぎて、こっちが正しい、あっちはだめだというのが良くない。
それこそがバランスが悪いわけです。
ただ次のことは知っておいていいかと思いますよ。
空間を移動していない時であっても、そこに動きがないというわけではありません。
内的な動きのバランスがそこにあるということですね。
身体の位置を固定させてバランスを取るという考え方は、物理学の法則に合っていないことになります。
バランスというのは、身体の機能的な問題だけでなく教育が関わる問題でもあります。
バランスを取るために固定させるような指示のしかたや教え方は、求める成果だけを教えているようなものです。
大切な、機能の理解や体現することが見落とされています。
自分でバランスや安定性を獲得していくプロセスが大事なんですね。
魚を与えられるんじゃなくて、自分で魚を釣れるようになるほうがいいと思いません?
どのようにしたらそれが行えるようになるのかを理解し、実際に体現していくことが身体のしくみを感じてわかるということなんです。