コラムColumn
- 靭帯のはたらきにはそんな役目もあるんだ
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- 2013/10/18
- からだのしくみ
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こんにちは、稲田です。
靭帯(ligament)は、ラテン語ではリガーレといい「くっつける」という意味があります。
骨と骨を束ねて、ずれないように、また負荷に対して耐えられるように、強靭な繊維によってサポートしてくれてるんですね。
特に膝の関節には、前後・左右にわたりマフラーをぐるぐる巻きにしたように、たくさんの靭帯で膝の動きを安定させています。
そう、靭帯は動く時に関節を安定させる役割があるんですね。
膝の靭帯の中で、側副靭帯と十字靭帯は重要なはたらきをしています。
側副靭帯には内側と外側の2つあり、膝を伸ばすと緊張し、曲げると緩みます。
十字靭帯には前十字(ACL)と後十字(PCL)があり、主な機能は関節を安定させ、大腿骨顆をスライドしやすくしています。
靭帯のもうひとつの主要なはたらきは、動きの方向をつくることです。
関節の動きに制限を加えるということは、別の見方をすると、ある方向にしか動かせないということになりますね。
筋肉は動くための力を提供しますが、靭帯は動きの方向性をつくっているわけです。
しかも、靭帯は機能するための燃料がいらないので、非常に効率のよいしくみなんです。
前十字靭帯は膝を曲げるときに、大腿骨顆を前にスライドさせます。
後十字靭帯は膝を伸ばすときに、大腿骨顆を後にスライドさせます。
また、ACLは膝を曲げるときの大腿骨外旋—脛骨内旋というボーンリズムを誘導する役目もしているんですね。
PCLは、ACLよりもずっと短くて、強さも2倍あり、屈曲でも伸展でも緊張がゆるみません。
そのために膝関節の安定のための一番の働き者といえます。
側副靭帯も、靭帯の走行する方向がななめになっているので、脛骨を外旋させると緊張し、内旋させると緩みます。
この動きは十字靭帯の動きと反対になるので、どちらかの靭帯がかならず膝関節を安定させてくれているんですね。
靭帯を、動きをつくるガイドさんとみることで、より良い動きをつくるパートナーになりますね。