コラムColumn
- モーメントアームってなんですか?
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- 2014/06/03
- 解剖学の基礎
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今日は、関節の運動力学の中でも重要なモーメントアームについてのお話です。
モーメントアームって何のことでしょう?
物理学では、物体に回転運動を生じさせる力の効果を
力のモーメント または、トルクといいますね。
アームというのは文字通り「腕」の長さのことです。
つまり、
モーメントアームとは、
力の作用するラインから回転軸までの距離のことをいいます。
もっとシンプルにいうと、
回転軸と力の作用線を結んだ垂線です。
物理科学のコンセプト1『力と運動』より
力と運動 (物理科学のコンセプト)力の大きさはそれぞれ等しいけれども、力のモーメントは異なりますね。
モーメントアームが長いほうが楽ちんです。^^
で、なぜこのモーメントアームが大事かというと・・・
その前に、関節は主にてこ原理に基づいて動きますね。筋肉から関節に加わる力は、てこの腕の長さ(支点〜力点距離)によって異なります。
筋腱の付着部(力点)と支点(回転の中心)との距離(力点距離)が長いほど軽く動き、支点と荷重点との距離(作用点距離)が長いほど抵抗が大きい。
プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論より
このように、てこの原理を働かせる際、筋がどういう角度や位置に付いているかで、関節を動かす力加減が変わってくるんです。
膝の関節を例にとってみましょう。
膝蓋骨、いわゆる膝のお皿が大腿骨と関節を作っていますね。
この膝蓋骨が存在する理由のひとつがモーメントアームに関係するんですよ。
膝蓋骨がある時とない時では、大腿四頭筋のモーメントアームが30%も増大するんです。
そのおかげで、より効率よく膝の屈伸運動ができるんですね。
フランクリンメソッド創始者エリック・フランクリンの著書より
Dynamic Alignment Through Imagery
人体には、膝蓋骨と同じようにモーメントアームをより長くするしくみが他にもいくつかあります。是非探してみてくださいね。(^-^)/
どれどれ、にゃんこの場合はどこかにゃと