コラムColumn
- 目の高さを上げていくとどうなる?何が見える?
-
- 2015/07/14
- コラム
-
こんにちは、稲田です。
もう随分昔ですが、古武術と居合術の道場で刀を振っていた事があります。
居合術は別名で抜刀術ともいうのですが、一瞬で刀を抜きまた鞘に納めるというからだの使い方が面白くて熱中したものでした。
その時に教わった流派が新陰流と言いました。
戦国時代から江戸時代初期にかけての武将で兵法家の柳生宗厳によって伝承されてきたのが剣術の柳生新陰流です。
その柳生新陰流剣術の奥義として伝えられているもののひとつに「目の高さ」というのがあります。
それは剣を交えて相対する時、相手より目を高い位置に置きなさい、という教えなんですが・・。
どういうことかわかりますか?
ヒールの高い靴をはいて、相手より身長を高くするとかいうことじゃないですよー。
ここで言っている「目の高さ」とは、自分の行っていることをどれくらい客観的に離れたところから観察できるかという意味なんです。
敵と戦う場合、相手の身体の動きをみることはもちろん大事です。
相手の呼吸を読み、動きの先の先を読むことは剣術家として生きるためには必須です。
真剣勝負の場では、生きるか死ぬかの究極の駆け引きですから。
しかし、柳生新陰流の教えでいっていることはそれだけではないのです。
何なにー、はやくおしえてちょんまげ柳生新陰流の達人になったつもりで解説すると
柳生新陰流の達人たちは相手に対すると、まずは少し離れた上空から見下ろしているような視点をもってみます。
そうすると、自分と相手のお互いの相互の関係性が見えてきます。
今の現状はどちらが優勢なのか、その理由はなにかといったことです。
そこからさらに視点を上げていきます。
もっと上空から見れば、お互いの背後にいる味方がどのくらいの力をもっているかの関係性がみえてきます。
さらに勝負の結果がお互いの陣営にどのように影響をおよぼすのかもみえてきます。
またさらに上空から見下ろしてみると、広い世界の中のこの場所で戦うことの意味や、長い時間の流れの中で今この相手と戦うことの意味までみえてきます。
さらにさらに上空から見下ろしてみると・・・
どんどん視点を上げていくことで、より次元の高い視点から観察することができるわけです。
そして次に、そのような高い視点からみたことを前提に、今のこの立ち位置まで戻ってくるんです。
そうやってもう一度相手と対峙したとき、何が起こるのか。
過去から未来への時間を俯瞰し、空間を広げてつかんだ感覚をもってして相手と向き合うことで、結果的に勝負に負けることのない対応ができるというのです。
このような「目の高さ」を高める、まさに視点を次元上昇させることが柳生新陰流の奥義とされているんですね。
この視点は、私たちセラピストの仕事にも応用できるいろんなヒントがあるように思いませんか。
セラピストなら、クライアントさんの全身を俯瞰してみると、なんとなく訴えている症状の元はここかなと直感的に感じたりね。
その方のエネルギーを俯瞰してみて、過去から現在、未来への時間の中での変化をイメージできたり。
インストラクターなどの指導者なら、クラスの場づくりにこの視点を上げるということが役に立つかもしれませんね。
おまけ
ユーチューブで今日のテーマにあった動画があったの、視点を上げ下げするイメージ作りにどうぞ。Powers of Ten