コラムColumn
- 慢性痛はホメオスタシス機能の低下が起こっている
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- 2013/06/20
- 見立てのスキル
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こんにちは、稲田です。
機能性身体症候群(functional somatic syndrome)ってご存知ですか?
慢性の痛みは、その原因が明らかな場合と原因不詳のことがよくあります。
また、原因がわかっていても、交通事故のようによい治療法がない場合もあります。
そのような慢性的な痛みを、最近の疾患概念でいうと機能性身体症候群というんだそうです。
全人的医療を実践されている、日本薬科大学教授の永田勝太郎先生によると、
主に器質的病態の身体的病因検索を中心とした現代医学は、機能的病態の診断・治療に対して非力であり、診断の決め手となる臨床検査の結果が得られにくい。
むしろ痛みから反映された患者さん固有の心理・社会・実存的反応が目立ってしまい、機能的身体的病態が隠されてしまうこともある。
そうした場合、医師は短絡的に心因性を疑ってしまう。
これを身体因性偽神経症という。
ここに、現代医学の落とし穴がある。
私たちの心療内科を紹介されてくる患者さんにはこのようなケースが多い。
(『痛み治療の人間学』より)
つまり、いくら痛みを訴えても検査してどこも異常がみつからないと、気のせいだとか、心の問題だとかにされてしまいがちだということですね。このような機能性身体症候群は、実はごく普通に見受けられます。
現代医学の検査でひっかからないだけであって、筋肉の張りやこり・引きつれ、姿勢・骨格の歪み、運動機能の低下を調べたり、東洋医学的な診察などで容易に異常が認められるものです。
自分ではどうしようもない場合は、整体や鍼、アロママッサージや漢方などの手段を用いてケアをしてもらうことも必要です。
そして、次のステップとしては、自らがセルフコントロールして痛みの予防ができるようにすることがどうしても必要になってきます。
セルフコントロールのための方法は各種の体操であったり、ヨガ・ピラティスであったり、コンディショニングやトレーニングであったりさまざまでしょう。
その道のプロの指導者が、それぞれの場でなくてはならない仕事をされていると思います。
その時に大切な原理というのがあります。
それは、機能の体現は機能の向上につながる、ということです。
機能をイメージすることは機能の向上につながる、といってもいいでしょう。
身体は、本来の機能を体現することによって、本来あるべき状態に戻る力があるんですね。
そう考えると、機能の体現に基づいた運動法は、慢性痛といわれるような機能性身体症候群にならないための予防にもなりますね。