コラムColumn
- 「姿勢」は社会や心理面からも影響受けますよね
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- 2013/12/04
- からだとこころ
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こんにちは、稲田です。
「姿勢」について考えることのひとつに『重心』をどこに据えるかというのがありますね。
これは、基本的に非常にシンプルな力学です。
立った状態の姿勢では、両足のうらが床に接していますよね。
だいたい、母趾球—小趾球—かかとの3点を結んだ3角形で体重を支えているんです。
このときにかかる重さが、つま先側に多くかかっているか、かかと側に多くかかっているかによっても「姿勢」は変わってきます。
そこで、体重がつま先側とかかと側に50%ずつかかるような場所を見つけるエクササイズなんかは有効ですね。
ただ、「姿勢」というのは単に体という物理的な側面だけで決定されるわけではありません。
自分が属している共同体の社会的・文化的な側面にもかなり影響を受けるもんです。
たとえば、女性が脚を拡げて座るのははしたないこと、というルールの中で育てば内股よりの体の使い方になりますね。
今はそうじゃないかも知れないけど、少し前の着物文化の日本では、女歩きというのもありました。
西洋の女性なんか、平気で胡坐をかきますが、日本では多くは正座か横座りしますよね。(あれっ、違う?)
また、心理的な側面というのもかなり大きいです。
僕の患者さんで、小学校の頃から背が高い女の子だった方がいました。
クラスメートからのっぽとかってからかわれるのが嫌で、背中を丸めて小さく見えるようにしていたそうです。
また、エリック・バーンが打ち立てた交流分析という心理セラピーでは、人生脚本という理論があります。
幼少期に両親や環境から受けた影響から、子ども時代の自分自身が人生に対して無意識的に決断をすることで、人生計画がつくられることです。
大人になっても、なぜかわからないけどあることに大きく反応してしまったり、なぜかいつもあるパターンを繰り返してしまうことってないですか。
これが幼児決断といって「性格」をつくっているわけです。
そこには、怒りや悲しみや恐れなどの感情も含まれるし、そのような感情が実は体の緊張、ひいては「姿勢」にも影響するわけです。
心理セラピーの公開講座に何度か行ってみるとわかりますが、クライアントの感情が解放されたり、ヒーリングが深まると、体の状態まで変化が起こり表情や姿勢が大きく変化することがよくあります。
つまり、「姿勢」というテーマには、身体面だけでなく、社会・文化・心理的側面も無視できないですよということです。
ンなこと言ったら、「姿勢」の指導なんてできないじゃん!
って反発されそうだけど、大丈夫ですよ。
多くの場合、今言ったことなどは意識化されていないから、影響を受けるんです。
なので、そういうことがあるとまず知ること、意識化することで「気づく」ことができるんです。
「気づき」が変化の第一歩ですから。
もちろん深〜い変容には潜在意識に働きかけることが必要なのかもしれませんが、僕らのできる範囲外のことです。
その上で、本来の身体のしくみ、重心感覚、中心軸などを自分でコントロールする方法を学べば、よりよい姿勢に戻すことは誰にでも可能です。