コラムColumn
- 姿勢とは指紋のように個人に特徴的なもの
-
- 2013/04/16
- からだの使い方
-
こんにちは、稲田です。
Posture is as individual as a fingerprint.
これは、エリック・フランクリンの著書の中の言葉です。
「姿勢とは、指紋のように個人に特徴的なものである。」ということですね。
指紋が人それぞれ違うように、姿勢だってみんなひとりひとり違うものなんです。
たとえば、大勢の人の中から知り合いの方を見つける場合、その方の背中を見ただけで「あっこの人だ。」ってわかりますよね。
もし誰もが同じ姿勢であったなら、見分けることが難しいでしょう。
動物園で見るペンギンだって、人間から見ると全部一緒にみえるけど、彼らはちゃんと区別できてるみたいですよ。
姿勢はひとりひとり違うものだということは当たり前のことと思われています。
ですが、私たちはついつい正しい姿勢に矯正するとか姿勢を改善するとかって普通に言ってしまいがちです。
そもそも正しい姿勢って何なのでしょうか?
矢状面・前額面・水平面での軸が前後左右対称になっているのが理想の姿勢の基準にはなっていますよね。
この基準に近づけようとするのが、正しい姿勢のあり方だという考えがあります。
しかし、この考えに基づいて静止状態の正しい位置にアライメントを置こうとする試みは、動きの質を改善しないだけでなく、妨げてしまうことにもなります。
姿勢というのは、毎瞬間ごとに再構築されます。
脳と神経システムによって、理想的な連携が手足・体幹・動きのための各パーツ・皮ふ・筋肉・重力によって作られていきます。
この姿勢を作る複雑なサポートシステムの基盤は、一つの位置から次の位置へと移動していきますね。
コアトレーニングでいえば、足を浮かしてバランスボールの上で止ろうとすると難しいですが、動きながら中心感覚(へそ)を作りなおすというイメージを持つとバランスを保ちやすいのと同じですね。
筋肉の力の入れ具合を指導して姿勢を正すことは、誰もが同じ筋肉の使い方をしていて同じタイミングで収縮させているという考えが前提になっています。
これは、科学的にも根拠のないことです。
正しい位置を教えるというかわりに、動きの中でアライメントを調整する力を自分の感覚を使って訓練する必要があります。
そして、個々の筋肉や関節にフォーカスする目的は、限局された部分の効率の改善や向上を通して、次の全体の動きの経験を向上させて統合させていくためなんですね。