コラムColumn
- 脊椎もやっぱりテンセグリティシステムなんですね
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- 2014/03/17
- からだのしくみ
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こんにちは、稲田です。
脊椎動物の進化の過程において、脊椎は曲線のカーブや一個の椎骨のデザインにおいても、さまざまな作品を生み出してきました。
もともとは、「脊索」といって液体に満ちたゴム状の長いチューブが左右に動いて水中を泳いでいたのが始まりでした。
脊椎動物の最も原始的な祖先ということで有名なのがナメクジウオですね。
脊索動物門頭索動物亜門に分類される、生きた化石です。
400万年前に人類の祖先が二足歩行を始めてからも進化は続いています。
そして、今までに脊椎の構造と機能を説明するモデルもたくさん考えられてきました。
なぜなら生体構造としての脊椎には、多様な機能があるからですね。
単純にひとつの力学モデルでは、到底説明ができないのです。
ちなみに、4足動物の背骨はほぼ水平に走ると考えると、頭と尻尾は背骨のカンチレバー(片持ち構造)に当たります。
しかし、このようなカンチレバーモデルだと、重りが重いほど、片持ちが長いほど支える柱は強く、より剛体でなければなりません。
強い柱であるためにはその負荷を支える重いベースも必要にもなってきます。
このようなモデルでは、構造を保ち続けるだけで相当なエネルギーが要求されるのは想像できますよね。
ヒトの場合もコンプレッション(圧力)モデルで考えると、上からの圧力を支えるためには、腰椎の5番は今ある大きさの4倍は必要になるそうです。
4足動物もそうですが、私たちヒトの生体構造は、動的で柔軟な関節があり、エネルギー消費が低く、多方向に動ける構造をもっています。
つまり、非線形であり、非ニュートン力学的なんですね。
なので、骨盤のモデルの考察をしたのと同じように、脊椎にも現実に沿ったモデルを考える必要がありますね。
もちろんカンチレバーモデルもコンプレッションモデルも間違いではなくて、1つのモデルですべてが説明できるわけではないということです。
トラス構造のモデルは、鉄橋の構造によく利用されていますが、安定していて負荷は構造全体に働きます。
トラスに負荷をかける場合、張力の働く要素というのはロープやワイヤーに当ります。
このワイヤーが、生体では筋や靭帯、膜などの軟部組織になるのですが、このような張力構造をもつトラスは一つの方向に合わせられたときに始めて機能します。
これでは、多方向に動く生体の機能を説明するモデルとしては充分ではありませんね。
そこで考えられたのが、テンセグリティモデルというものでした。
建築家のバックミンスター・フラーと画家のスネルソンは、生体の神秘的ともいえる構造をうまく説明する「張力二十面体構造」を表現し、これをテンセグリティ構造と呼びました。
この構造は生体に限られたものではなく、自然界に存在する炭素や有機化合物、ウイルス、細胞、花粉、たんぽぽの種、そしてヒトやその他の生き物に利用されている構造体なんですね。
脊椎のモデルとして、このテンセグリティシステムの視点をもつことで、動きの感じ方や施術のときの身体のイメージが変わってきますよ。
カンチレバーだと鮭が重くて首が疲れるよな