コラムColumn
- 全体としての身体は複雑系?それとも単純系?
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- 2014/05/09
- コラム
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こんにちは、稲田です。
突然ですが、魚が群れをなして泳ぐのを見たことがありますか?
特にイワシは、まぐろに食べられない様に、10メートル以上の大きなボール状の群れを作ります。
食べられないように防御したり、目立たせる目的で集団で泳ぐことで、まるで巨大なひとつの生き物のように振る舞うんです。
でも、じつは個々のイワシには群れをなそうという習性はないそうで、たった3つの癖がそうさせるだけらしいです。
ひとつは、なるべく群れから離れないように隣のイワシに近づこうとすること。
ふたつめは、ぶつからないように一定以上近づいたら離れようとすること。
そして最後は、隣のイワシと同じ方向に泳ごうとすること。
この3つの癖があれば、群れができるそうです。
個々のイワシの動きをいくら研究しても、1個の巨大ないわしの群れ(ベイト・ボールといいます)の動きは計算できません。
全体として秩序のあるものは、バラバラに分解しただけでは全体を理解することはできないんですね。
じつは人間の身体のしくみも、同じことが言えそうなのです。
個々の筋肉のはたらきや、関節の機能が分かったからと言って、全体の身体の動きのしくみが分かったとはいえませんね。
同じ動きに見えるようで、実は二度と同じ動きはできないのが「複雑系」といわれる生命体の特徴です。
要するにファジーであり、あいまいなんです。
このようなファジーな身体を理解するためには、もちろん細分化してエビデンスに基づいた科学的な分析も必要です。
でもそれだけでは別の側面が見えないかも知れません。
筋肉を知るなら、個別の機能だけでなく、連結した時のはたらきや、相似形の視点やエネルギーの流れのイメージや心理的側面からもアプローチすると、もっといろんなことが見えてきそうです。
身体のしくみはシンプルなのか?それとも複雑なのか?
そんなことを考えながら、ミクロの世界とマクロの世界を行き来しながら、身体のしくみの不思議に日々遊ばせてもらっています。