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言葉が現実を創り上げる!?
  • 2015/01/20
  • コラム

こんにちは、稲田です。

ここ最近、言葉というものについて書かれた本を読んだり、話を聞く機会が多くあります。

からだに変化を起こすには、イメージが有効ですよということをこのコラムではよく書いていますね。

でも実は、イメージの前に言葉があるって知ってましたか?

言葉というのは、現実をバーチャルを含めて簡単に創り出すことができるんですよ。

たとえば、腕の上げ下げをする時に、

軽い羽のようなイメージで上げてという言葉を使うのと、重い鉛になったとイメージして上げてという言葉を使うのでは違いが感じられるはずです。

これはイメジェリーを使ってマインドに働きかけた結果、変化が起こったわけです。

ですが、そこに言葉というものが介在していたことが重要なんですね。


だから、「言葉が現実を創る」なんです。

なぜ、言葉がそのような力を持っているのか?

僕はCoffee(コーヒー)が好きなんですが、ちょっと言葉に出して、コーヒーって言ってみて下さい。

どうでしょう、頭の中で黒っぽい液体がカップに入っている映像が浮かんできませんか?

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「コー」と「ヒー」という二つの音を発声しただけなのに、他の誰が言っても、文字を見ただけでも頭の中で同じようなイメージが浮かんできますね。

人間の脳の中では、専門用語でいうと派生的関係の自動学習が起こるんだそうです。

うーん、むづかしい用語がでてきたね。

最初に、目の前にカップに入ったコーヒーを見た時、これはコーヒーと言うんだと覚えたとします。

そうすると、コーヒーはどれですか?と聞かれたら、これですって指さすことができますね。

同じように、紅茶を見てこれは紅茶と覚えてから、紅茶はどれですか?と聞かれたら、紅茶を選び出せますよね。

これが、派生的関係の自動学習ということです。


このような学習は、ヒトに一番近いチンパンジーにもできないことが実験的にもわかっているんですよ。

イギリスのニール・ダグデイルさんが、3頭の天才チンパンジーを相手に実験したことがあります。

コーヒーを見せて、これは赤色と覚えさせる。

次に赤色を見せて、コーヒーを選択できるかという実験です。

実験の結果、人間ができるような自動学習をさせることができませんでした。

僕らは子供の頃に、物には名前があるということをくり返し学んできましたね。

言葉にさっきのような、物⇔名前という双方向性があり、言葉の力を獲得できたのは、言葉を使い続けてきた結果なんですね。

言葉が思い込みを創る!?

それだけじゃないですよ。

僕らの使う言葉は、他の言葉や多くのイメージともネットワークを作っています。

それらの言葉のまわりにできたネットワーク同士がさらにまた繋がり合って、バーチャルな世界を創っていくんです。

新しい関連づけによって、一気に今まで感じていた動きや思考や感情の意味が変化するんです。

心理面では、恐怖症などの思い込みがはずれることもあります。

身体面では、身体の使い方が一瞬で変わることもあります。

言葉のこのような性質を利用することで、自分自身の行動をコントロールすることもできるんですよ。

言葉を使えない動物たちは、本能による行動以外は、普通は自分で体験したことからしか学べません。(テレパシー的な伝達手段をもつ生き物もいますが、ヒトが使う高度な言語体系をもたいないという意味でね。)

たとえば罠の仕掛けられてたこの場所は、怖い目にあったとこやから近づかんとこーっとかね。

これが、オペラント学習というやつです。

行動 ⇒⇒⇒⇒ 結果

 ↑←←←←←←↓
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僕ら人間は、人から聞いた話や、自分で考えた予測によって行動を決めることができます。

予測、つまりフィードフォワードね。

自分で経験したことがなくても、状況に対応できるので、より効率がいいわけです。

このような、言葉による見通しによって作られる行動をルール支配行動といいます。

もちろん、だからといってこの方法がすべてうまくいくとは限りませんが。

一番の弱点は、事実と一致しないことがあること。

つまり、百聞は一見にしかず、という場合です。

もうひとつは、一度思い込むとなかなか修正できないということ。

こっちのほうが問題が大きいですね。

体験に勝るものなし!

今説明したように言葉を使うことで、バーチャルな現実を創り出せることにはいい面もたくさんありました。

ただし、全く同じ理由でいったん作られた思い込みを修正するのが難しい面もあるんですよ。

高所恐怖症、男性恐怖症や運動音痴、思考的な偏りなどといった病的なものから、日常様々なメディアを通じて受け取っている情報にいたるまで、言葉で創られた世界が存在しています。

ほとんどすべてが言葉によって刷り込まれた思い込みだとは言わないにせよ、Fact(事実)とは異なるFake(偽物)を信じ込んでいたりすることもありますよね。

日本には、言霊(ことだま)というさらに奥深い世界があるくらいですから、伝える手段としてのこの言葉の使い方をもっと大切に深めていきたいと思っています。

それと同時に、言葉を介した情報の伝達と受け取りだけに終わらずに、リアルな身体感覚を通じた体験による世界感の構築をぜひしていただきたいと考えています。

イーマサウンドによるエネルギーの調律も、物質としての肉体の動きに関してもその真髄を理解するには体験する以外にはないんですから。

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 ねぇ、ぼくたちには愛があるから言葉はいらないよね
 痛たー、鼻かまんといて!

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