コラム

Column

人間のからだは見える体と見えない体でできている
  • 2015/07/06
  • からだとこころ

こんにちは、稲田です。

からだを扱うセラピストや運動指導をするインストラクターにとって、対象とするからだとは肉体を指すというのが暗黙の了解となっているものですね。

つまり、こころや情緒といった目に見えないあいまい模糊としたものは、対象から除外してしまう傾向にあるんです。

でも、僕らが普段生活している時、感情を抜きにして生きることはまずないわけです。

特別な霊能力をもった宗教家や覚者は別として、僕たちは主に肉体と感情という二つの異なる階層を伴なった存在として生きていますね

ところが、なぜか病気やけがをして病院へ行くと、肉体としての部分しか対象と見なされないのです。

つまり、腰が痛ければ身体を検査をして、ヘルニアがないか、神経の損傷はないか、筋肉の断裂はないかなどを診断されます。

日常では、なんとなくその存在の関わりを意識できたはずなのに、こころや感情のエネルギーについてはほとんど無視されるんですね。

エクササイズの指導においても、対象はやはり肉体そのものの動きに意識がいく傾向にあります。

情動レベルを意識した指導をする方はあまりいないんじゃないでしょうか。

もちろん、音楽を使ったり、ダンスの要素を取り入れて楽しく指導するというのはあります。

でも、ここで言っている情動レベルとは、モチベーションの上げ下げという意味ではありません。

感情の五大表現には五情(怒る・喜ぶ・憂う・悲しむ・恐れる)があります。

そして、その下にはさらに数千もあるといわれる情緒語があるんですね。

たとえば、上に挙げた五情以外にも、好き・哀しい・驚く・苛つくなどなどの情緒言葉は19分類できるそうです。

さらにその下位レベルでは、「哀しい」なら歎く・めそめそ・淋しいなどの無数の情緒表現が日本語にはあるんです。

このような豊富な情緒表現がある人間(少なくとも日本語を使う日本人に限定しても)という存在を考えると、最低限、肉体レベルの身体と情動エネルギーという感情レベルの身体が重なり合った存在だと言えないでしょうか。

これは目には見えないけれど、確実に誰もがあるとわかっているはずのことです。

なのに、いざ【からだ】を扱う現場になると、なぜ肉体レベルの問題だけで解決しようとするんでしょう?

anatomical-2261006_1280.jpg

それは、目に見えないものは西洋の正当な科学史の中からは排除されてきた歴史があるからなのでしょう。

体は体、心は心として、本来一体のものをバラバラに研究するようになったという西洋科学史の経緯があるんですね。

しかしながら、古代の中国では、春秋時代のころすでに人体の解剖と麻酔を使った手術が行われていました。

身体のパーツがどうなっているか、ある程度はわかっていたはずなのに、西洋のような要素還元主義の科学の手法には向かいませんでした。

人間は自然の一部であり、陰陽五行や易といった自然哲学を採用し、からだをまるごと全体をみるという考えで研究されてきました。

日本もそんな中国の文化・思想の影響を受けて漢学が重きを置かれてきましたが、幕末からはオランダの蘭学が入ってきて、明治維新以降は近代化のために西洋式の科学思想を取り入れて進んできました。

そのためなのか、日本人の感覚としては、【気】エネルギーなどの見えないものに対しても存在を認めているはずなのに、学問上や科学的立場というものからは明治以降は排除してきたんですね。

しかしここに来てまた、陰陽が反転し、体とこころを一体と見る考えが科学、特に量子物理学の研究成果などから科学的立場も変わってきています。

僕は臨床心理のことを学んだことがきっかけで、こころや感情がいかに体に大きく影響するかを知りました。

心理セラピーは、日常の生きづらさやこころの悩みを解決するために気づきを与えたり、思い込みを書き換えてもらったりする治療的アプローチです。

けれども、体の症状においても、実は感情のエネルギーの滞りが原因で痛みやさまざまな病気をつくることがわかっているんです。

ジョン・E・サーノ博士は、心の状態が体に影響を与えるとするTMS理論(Tension Myositis Syndrome 緊張性筋炎症候群)というのを提唱しています。

これは、体の痛みはすべて共通の理論で説明できるというものです。

血流不足によって筋肉や神経・腱などに酸素が欠乏し、その結果蓄積した物質によって痛みが起こるというのです。

そして、なぜTMSが発生するのかというと、

その引き金になるのが怒りの感情だといいます。

・否定ばかりする夫への怒り
・幼少のころに母から愛されなかったことへの怒り
・何をやってもいまくいかない自分への怒り

などなど、これらの怒りを抑圧した結果、本人が意識から消そうとしていたものが現れた現象が体の痛みだというのです。

サーノ博士のヒーリング・バックペイン—腰痛・肩こりの原因と治療

日々の臨床の中で、このような痛みの症状の裏に怒りを隠している方って結構おられますよ。

僕らは、体の痛みという肉体レベルに表れた問題についとらわれてしまいがちです。

痛みや症状などの肉体に現れた「問題」は、実は結果にすぎません。

たとえば痛みのほんとうの原因とは、筋肉や関節の問題よりも、自分の感情を押し殺してきたことだったりするんですね。

最近の主流医学の世界でも、痛みの治療においてパラダイムシフトが起きています。

その一例として、あなたの腰痛の原因はヘルニアがあるからではないという、

「痛みの原因は構造にはない、機能の異常が問題なのだ」という視点です。

しかし、構造か機能かという同じ階層での視点ではまだ片手落ちなんです。

「痛みの真の原因は、情緒エネルギーのひずみが肉体に表れているのだ」というもう一つ上の階層の視点が必要です。

この階層の違いをわかっていないと、体とこころを癒すとか、体とこころにアプローチするといったよく使われがちな言葉なんですが、上っ面を滑ってる表現になりかねないですから。

では、情緒エネルギーのひずみがなんで起こるのでしょうか?
そのひずんだエネルギーを調整することは可能なのでしょうか?

答えだけ言うと、ひずみが起こる原因はあるし、ひずみを正常に戻すことは可能です。

それには見えるからだだけではなく、見えない体(ヒューマン・エネルギーフィールド)について知ること、そして感じることです。

からだ道場では、サイマティクス原理の進化した音響振動療法であるイーマサウンド・バイオチューニングで見えないからだの調律を行なっています。


998068_640747429269337_270410044_n.png
がお〜ぅ!おれらは怒るときゃ怒るんやでー
それが正しい感情の使い方なんやでー!



一覧に戻る