Column

途中のまま進むということ  ――理解と身体のズレと、感情の完了について
  • 2026/01/26
  • 猫の穴的いのちの話
頭ではもう整理できているのに、身体のほうがまだ反応してしまうことがあります。

「もう終わったことだ」とわかっているのに、
距離を置いたはずなのに、
傷ついたわけでもないのに、

なぜだか胸がざわついたり、息を潜めたり、肩が緊張したり、言葉が出なくなったりする。

私にも、そういう時間が長くありました。

頭の理解と身体の反応のズレ


あなたにも、思い当たる出来事があるかもしれませんね。

話し合って解決したはずなのに、また同じような場面に遭遇すると身体が固まる。

「親のせいにしたくない」と思っているのに、いつもまた似た空気に飲まれる。

心理学の本や動画で理由はわかったのに、いざというとき心が先にいかない。

もう十分大人になったのに、
身体だけが子どものままの反応をするように見えることがある。

この「頭でわかっているのに変わらない」という違和感は珍しくありません。

というか、とても多くの人が感じている気がしています。

身体は別の時間を生きている


頭の理解は、過去や未来をまとめたり整理したり、原因と結果に結びつけたりできます。
それに、時間も飛び越えられる。

でも身体っていうのは、“今”にしかいない。

目の前の空気、距離、声のトーン、表情、匂いにすぐさま反応してしまう。
身体は、いま生きているからこそ、いまの情報に全力で反応するようにできているのです。

そして、身体が反応している先にあるのは、
出来事そのものよりも、“生き延びるための安全”の方なのです。

感情は整理ではなく「完了」を必要とする


理解できることと、感情を完了できることは別の過程です。

完了とは、
「もう大丈夫」と言い聞かせることでも
ポジティブに意味づけすることでも
忘れることでもありません。

感情や欲求は、
一度ちゃんと感じ切ることが必要です。
出てくるべきものを表に出して、体験として終わらせること、
これがとても大事なことなのです。

もし感情が途中で止まったままだと、
身体はそれを未完了のまま保存します。

そして似た空気や人や場面に触れたときに反応し、
もう一度完了しようとしてしまいます。

それが「頭の理解より身体の記憶が反応する」の理由なのだと思います。


身体は“生き延びる方法”を優先する


身体は常に生命を守る方向を選びます。

生き延びるためには、
感情を押し込むことも、言わないことも、
望みを諦めることも、静かに引いていくことも、
全部ありえます。

それはあなたや私の弱さではなく
生存の知恵だった。

理解と身体のズレは、壊れているからではなく
生き延びてきた証だったのです。

私の途中だった頃のこと


私にも、“理解だけが先に行ってしまった”時期があったし、
今もまだあると思います。

頭では過去を整理できてるし、
他人にも説明ができるし、
すでに越えたつもりになっていました。

でも身体は違っていた。

似た空気に触れた時に、思わず縮む。
名前を呼ばれただけで、胸がざわつく。
肯定されるほど、なぜか不安になる。
優しさに触れるほど、逆に怖くなる。

あれは身体が「まだ途中だぞ」
まだ完了していないぞと教えていたのだと思います。

途中は、悪い場所じゃない


途中は、未完成で恥ずかしい場所ではなく
自分の速度で生きる場所だと思います。

理解と身体が揃うには、時間がかかることがあるし、
むしろ揃わないまま進むことだってあリます。

人生とは、そういうふうに続いていくものだと思っています。

だから、途中からしか始まらないことがあってもいいし、
その途中にしか見えない風景だってあるのです。

こころ解放セラピーとイーマ・サウンドセラピーのこと


こころ解放セラピーというのは、

悩み・葛藤の根本感情を見つけ
気づきが腑に落ちたら
エネルギーワークをかけて
未完了の感情を完了させる。

イーマ・サウンドセラピーというは、

音と光の周波数を使って
身体とエネルギー体に働きかけ
情報場に残った未完了の感情を書き換える。

どちらも、
途中のままのあなたが、自分の中心に戻って本音で生きれるように
じっくりとサポートするセッションです。

そして人生は、途中から動き出す


理解が揃ってから動く人はいない。
完了してから生き始める人もいない。

途中のまま
恐れを抱えたまま

それでも人生を、一歩前へと進めていければいい。

どのタイミングで
どんなやり方で
その途中に手を伸ばすかは
いつだってあなたが選んでいいのです。

動き出すときは、いつも静かなものです。
方向だけが見えれば、それで十分だと今はそう思っています。

編集者プロフィール
院長紹介
からだ道場【猫の穴】代表の
稲田 泰弘(いなだ やすひろ)です。

病院では「異常なし」と言われたけれど、
体や心のつらさが続いている。
そんな方と、これまで多く向き合ってきました。

からだ道場猫の穴では、
言葉にしづらい不調や違和感に対して、
決めつけず、その人の感覚を大切にする
「調律」という考え方を軸にセラピーを行っています。

このコラムは、
日々の現場や対話の中で感じてきたことを
ひとつの視点として綴っています。

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