Column

力を抜きたいのに、抜けないとき —— 頑張り続けてきたあなたへ
  • 2026/01/26
  • 生き方とからだのつながり

「頑張っているのに、どこか空回りする」
「力を抜きたいのに、うまく抜けない」
そんな感覚を持つことはありませんか。

呼吸が浅い、肩が上がっている、
気づくと歯を食いしばっている。
身体は、いつの間にか“構える姿勢”をとっています。

これは悪いことではありません。
むしろ、これまでの人生の中で
あなたが自分を守るために身につけてきた
とても大切な“守り方”です。

子どもの頃、あるいは過去のどこかで、
「こうしていないと安心できなかった」
そんな体験が、身体のクセとして残っていることがあります。

だから、今も無意識に
同じ姿勢、同じ呼吸、同じ緊張を繰り返してしまう。
それは弱さではなく、
これまで生きてきた証のようなものです。

守り方は、間違いではない

多くの人は、
「この緊張をなくさなければ」
「変わらなければ」と思います。

けれど実際には、
守り方を無理に壊そうとすると、
身体はさらに固くなります。

大切なのは、
「なくすこと」ではなく
“気づくこと” です。

いま肩が上がっているな。
息が止まっているな。
そんなふうに、そっと観察するだけでいい。

身体は、気づかれるだけで
少しずつゆるみ始めます。
緊張していた神経が、「もう大丈夫かもしれない」と反応するのです。

いのちは、途中にいる

私たちは、完成形ではありません。
まだ途中にいます。

途中だからこそ、
まだ固さが残っていてもいいし、揺れがあってもいい。
ときどき立ち止まることだってあります。

けれど、途中にいるということは
まだ変化できる余白があるということでもあります。

何か大きな決断をする必要はありません。
人生を一気に変えようとしなくていい。

ただ、いまこの瞬間に
呼吸をひとつ深くしてみる。
肩の力を少し抜いてみる。
それだけで、身体の中の景色は変わります。


今日できる、小さなこと

・息を「吸う」より「吐く」を少し長くしてみる
・手のひらをゆるめてみる
・肩を上げて、ストンと落としてみる

それだけで十分です。

守ってきた力が少しゆるむとき、
私たちは何か別の人間になるのではなく、
神経が「もう少し安心していい」と思い出すだけなのかもしれません。

大きく変わらなくていい。
ほんの少し整うこと。

その小さな緩みが、
いのちの途中を
もう少し軽やかに進む力になります。


編集者プロフィール
からだ道場【猫の穴】代表の
稲田 泰弘(いなだ やすひろ)です。

病院では「異常なし」と言われたけれど、
体や心のつらさが続いている。
その状態を、私は軽く扱いません。

からだ道場猫の穴では、
あなたの感覚を尊重します。
その上で、体と心の反応を一緒に確かめていきます。

このコラムは、
日々の現場や対話の中で感じてきたことを
ひとつの視点として綴っています。

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