コラムColumn
- 筋の収縮と弛緩/短縮と伸張のしくみとは?
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- 2014/09/22
- 解剖学の基礎
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こんにちは、稲田です。
先日、受講生の方からいただいた質問に動画でお答えしますとお知らせしていましたが。
動画・・・
撮れてません。(_ _。)
なので、今回はこの投稿にて回答したいと思います。
質問はこんな感じのことでした。
筋肉の起始と停止を自動で近づけると収縮するけれど、他動で近づけると弛緩するのはなぜですか?
アクチンとミオシンが働いていないということでしょうか?
自らの筋肉を作用させながら弛緩できるということでしょうか?
まず起始と停止とは何かですね。
骨格筋は、少なくとも一つの関節にまたがって付いていますね。
それゆえ、骨が引かれて動きが生じるわけです。
この時に、動かされる側の骨が停止骨で、比較的固定した状態の側が起始骨になります。
もも裏の大腿二頭筋を例にしていうと、
起始が坐骨結節(長頭)と大腿骨の粗線(短頭)停止が脛骨外側顆と腓骨頭になります。
そして、この起始と停止を近づけると収縮します。
収縮するというのは、骨格筋に対して神経の刺激が起こった場合に生じる現象ですね。
たとえば自動運動の場合、ハムストリング筋は主動作筋として収縮し、拮抗筋となる大腿四頭筋が弛緩して伸張されます。
このしくみは神経系のはたらきです。
運動神経細胞が興奮すると、神経の先端と筋の接合部分に信号が伝播し、筋の細胞膜にも電気的な興奮が起こります。
さらにこの変化は、筋小胞体というところに伝えられ、カルシウムイオンが放出されると筋収縮が発生するんですね。
うーん、複雑ですねー。
で、ここからが、筋収縮の最小単位である筋節(サルコメア)の中の話。
太いミオシンフィラメントと細いアクチンフィラメントが、お互いに回転しながら滑り合うことで、短くなるんですね。
逆に筋が収縮したあと弛緩する時は、筋小胞体がカルシウムを再度取り込んで、ミオシンとアクチンが離れるので長くなるんですね。
これが自動で起始と停止を近づけた時のしくみです。
では、他動的に起始と停止を近づけた時はどうなっているのでしょうか?
他動的に動かした場合でも、筋は短縮しているのでミオシンとアクチンは滑り合っていますよね。
拮抗筋はストレッチされているので、筋は伸張しミオシンとアクチンは離れていきます。
このときにミオシンとアクチンの動きを引き起こすエネルギーはどこからくるのかということになります。
収縮と短縮の違いだとも言えますね。
これにもやはり神経系が絡んでいますよ。
筋肉にはミオシンやアクチンのように短くなったり長くなったりする線維だけでなく、センサーの働きをする構造を併せ持っているんです。
筋が急激に伸ばされると、破壊されてしまうので、反射的に収縮する機構があります。
また、持続的に伸ばされると、それ以上伸ばされて緊張するのを防ぐ機構もあります。
このようなセンサーと脊髄を介した神経と筋とのやりとりによって筋が短くなったり長くなったりするんですね。
で、ここからが大事な話。
このようなしくみを頭で理解することはもちろん大事です。
じゃあ、その知識が自分の日常生活の動きやパフォーマンスの向上につながったり、クライアントの指導に活かせるかということです。
情報過多の頭でっかちになって、なんでも知ってる先生と言われたいですか?
それとも、知識を活かして動きに変化を起こせる上手な指導者と言われたいですか?
関西的には、知識は活かせてなんぼです。^^
そのためにも、身体のしくみを体現できるようになることが指導者には必要ですね。
びっくりしたにゃーもう(突然の収縮)
ぐで〜ん(完全な弛緩)