コラムColumn
- 硬膜の動きが脳と脊髄をやさしく揺らす
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- 2016/05/12
- からだのしくみ
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前回のコラムで1次呼吸について簡単に説明しましたね。
1次呼吸とは何でしたか?
そう、脳脊髄液の循環のことであり、硬膜の動くリズムだったですね。
もしも、この硬膜がうまく動かなくなったとしたらどうなるのでしょうね。
脳脊髄液の循環も悪くなりますね。
そして、硬膜が引っ付いている頭蓋骨を歪ませることにもなります。
頭蓋骨が歪んで動きが悪くなると、その中にある脳そのものにも影響してしまいます。
そうならないためには、1次呼吸のリズムが規則正しくあることが健康な身体にとっても必要だとわかりますね。
そもそも硬膜って何?
さっきから硬膜って言ってますが、一体ぜんたいどこにあるのでしょう。
硬膜っていうからには硬い膜なんでしょうね。
ということは軟らかい膜もありそうです。
そうです、軟膜があります。
そして、なんとなく聞いたことがある名前のくも膜。
くも膜下出血とかの病名くらいは聞いたことありますよね。
内側から軟膜、中間にくも膜、そして外側に硬膜、この3つが脳膜と脊髄膜を形成しているんです。
そして、脳脊髄液はくも膜と軟膜の間のくも膜下腔を満たし、循環しているんです。
おおざっぱに言うと、脳の側脳室などで分泌された脳脊髄液はくも膜下腔を下降して各脊椎・仙骨の方からリンパ管へと流れます。
一部はまた脳へと循環し、静脈洞から静脈へと流れていきます。
その循環の動力になっているのが硬膜の動き、つまり一次呼吸リズムなんです。
もっと詳しく知りたい方は専門書を紐解いてみてください。
実際のところは諸説いろいろありなので、あまり本の知識だけに頼らないほうがいいですが。。。
一目でわかるニューロサイエンス 第3版
硬膜がなぜ大事なのですか
ここ最近、筋膜の研究が進んできて、筋膜系による身体の連動が注目されていますね。
痛みに関係するトリガーポイントも、筋膜の歪みとして捉えているドクターグループもあります。
硬膜も、大きな枠で筋膜系に分類できますね。
つまり、連動装置のはたらきがあるということです。
頭蓋仙骨系のバイオメカニクスは、オステオパシーにおいて研究が進められました。
その中のキーワードが「相互張力膜」または「相互緊張膜」という概念です。
この連動のしくみがあるからこそ、身体は呼吸を通してつながっていくんです。
逆に言うと硬膜の連動が正常に働けば、身体の機能も向上するわけです。