コラムColumn
- 環境適応力を高める視点について
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- 2019/12/12
- コラム
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地球上に生活する私たちは、その環境条件に適応しなければ生きていくことができません。
からだが健全に保たれているということは、自然界のさまざまな作用に対して適切な順応がなされていることを意味しています。
ですから、からだに不調が起こっている時は、何らかの環境への不適応があると考えることができます。
環境条件には、自然界のさまざまな要素が複雑に組み合わされています。
自然界の中にある「力」というものを取り上げてみても、人体に影響するものとして大きく5つの「力」が作用しているとみることができます。
では以下に5つの「力」の概略をみてみましょう。
人体が影響を受けている5つの「力」
①引力
人体は引力によって地球に引きつけられています。地球には23.5度の傾斜角があるので、人体の中心軸も地軸同様に傾斜を持っています。
ですから、直立している人体には地軸の傾斜と同じ傾斜作用が働いているため、「抗傾斜作用」によって正常な直立形態を保つ必要があるのです。
②重力
地球には先の引力とともに重力があり、この2つはからだへの作用を考えるときには明確な違いがあります。重力とは、引力と同時に働き、引力+地球の遠心力の合力に相当します。
地球の中心方向とは少しズレますが、直立する人体の足の方向へと作用します。
③回転力
ご存知でしたか?地球は秒速473mで回転しています。これは新幹線のぞみが時速300kmなので秒速に換算すると83mですからすごい高速回転をしていることになります。
しかし、私たちはそんな高速回転をまったく感知していません。
そのわけは、地上の大気を含めたすべての物質が同じ速度で回転しているためです。
地球の自転、公転、さらに太陽系全体の公転を含め、人間のからだには回転運動と回転力が大きく作用しているのです。
④膨張力
宇宙は現在も膨張し続けています。そして人体も自然界の力として、宇宙の膨張力を少なからず受けているのです。
人体が受ける膨張力は、中心から360度のすべての方向に向けて広がっています。
⑤遠心力
宇宙空間の回転に負けないように、人体も回転しています。地球上に生活する私たちは、地球とともに回転し地球が受ける遠心力をともに受けているのです。
それゆえに、人体の中心軸には直立した状態で特定の方向に回転する方向性を持っています。
姿勢と足裏のバランスが重要です
このように自然界への適応は、外部からの「力」に対して体の中で作り出される「力」によってなされており、この力は体内圧とか腔圧と呼ばれます。
この腔圧が自然環境の何かに対して低下すると、姿勢の異常として現れます。
そして姿勢を決めるのは、起立した状態では足裏の動きによります。
足裏の状態は、からだの重心の位置はもちろん、上体のバランスや筋肉骨格の状態、体の使い方から内臓の働きまでも反映されるとても重要なところです。
重力に打ち勝って推進力を作り出すために、足裏は全身の伸び縮み運動の出発点というべき部位なのです。
もし、からだが重力に負けたような状態が続いたとしたら、その姿がどうなるか容易に想像できますね。
環境適応力を高めることが根本問題へのアプローチになる
以上のような自然界の「力」だけでなく、春夏秋冬の四季の変化や大気圧、気温、湿度の変化などもからだのバランスを崩す要因となります。
からだが自然環境条件の何に不適合を起こしているかを調べることは、健康を考える上でとても大切なのです。
一見まったく無関係に起こっているように見えるさまざまな症状は、環境適応力の低下によって引き起こされたものが多くあります。
先天的障害やケガや手術による後天的障害、あるいは心因的なもの、さらに老化による問題など、これらはすべて適応力が低下するきっかけとなる要因の一つと考えられます。
起こっている問題(症状)に対して直接アプローチするというのは、表面化している問題(症状)のみを追いかけてしまうことになります。
つまり対症療法です。
根本的な解決策を見出すためには、自然条件を理解した上で、適応できなくなっている部分を見つけ、体の構造と機能の問題を鑑別して対処する必要があります。
そういう意味で、肉体面を見るときには姿勢のチェックと足裏を通した体のバランスチェックが有効になるのです。
今日のコラムで挙げた自然界の5つの「力」にしっかりと適応して直立して動けるからだを維持できると、年齢に負けないしなやかなからだを保てます。
つまりは若々しさというのは、姿勢に現れるのですね。