
コラムColumn
- エネルギー体という視点― 私が人をこう見る理由
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- 2026/08/03
- 音とエネルギーの世界
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「検査上は特に異常ありません。」
病院ではそう言われたけれど、ずっと体調はすぐれない。
整体で身体を整えるとその場では楽になる。でも、時間がたつとまた元に戻ってしまう。
心理セラピーを受けて、自分の思考や感情のクセが分かって気持ちは軽くなったけれど、身体のほうは思うように変わらない。
そんな経験をされている方、いらっしゃるんじゃないでしょうか。
もちろん、身体を整えることは大切です。
心の仕組みを理解し、自分の感情や思考と向き合うことも、とても大切です。
私自身も三十年以上の臨床の中でも、自分自身に対しても、身体からのアプローチと心の面からのアプローチの両方を大切にしてきました。
けれど、そのどちらだけでも解決しきれないケースに出会い、何か他に見方があるんじゃないかと感じてきました。
その問いかけが、私を「エネルギー体」という視点へ導いていきました。

人は、肉体だけでできている存在ではない
「エネルギー体」という言葉を聞くと、何かスピリチュアルな話ですかと感じる方もいるかもしれません。
しかし、この考え方は決して特別なものではありません。
東洋には「氣」という存在概念があり、中国の漢方や鍼灸医学には経絡(氣の流れる通路)という考え方があります。
また、インドのヨガやアーユルベーダ医学ではプラーナという概念があり、チャクラ(エネルギーの目には見えない出入り口)という考え方があります。
西洋においても、古代ギリシャではプネウマやエーテルなどの名で、見えないエネルギーを生命力そのものと捉えていました。
西洋近代から現代においては、ルドルフ・シュタイナーらによって東西を融合させたエネルギー体モデルへと発展しています。
文化も時代も違うのに、多くの人が共通してたどり着いたのは、
「人は肉体だけでは説明しきれない存在である」
という人間観です。
私も、この考え方を人を理解するための一つの視点として取り入れています。

氷と水と水蒸気のように考えてみる
私はよく、水に例えてお話しします。
氷と水と水蒸気。
姿は違いますが、本質はどれも同じH₂Oです。
人もそれとよく似ています。
肉体(ボディ)は、もっとも密度の高い生命の表れ。
心(メンタル)は、感情や思考として働く、より繊細な働き。
そして、その土台には、さらに微細な生命エネルギーの働きがあります。
私は、肉体・心・エネルギー体を別々の存在とは考えていません。
一つの生命が、異なる密度で現れている姿だと認識しています。
エネルギー体という視点を持つと、何が変わるのか
エネルギー体という視点を持つことで、一番変わるのは「症状の見方」です。
例えば、慢性的にひどく肩がこっている方がいらっしゃいます。
身体だけを見れば、筋肉の緊張や姿勢、関節の動き、自律神経の状態などを考えます。
心理的なの視点から見れば、不安や緊張、我慢してきた感情、思考のクセなどを考えます。
どちらも大切な見方です。
けれど、
エネルギー体という視点を加えると、その症状を「生命全体からのサイン」として見れるようになります。
肩こりは肩だけの問題なのか。腰痛は腰だけの問題なのか。眠れない原因は脳だけにあるのか。
そうではなく、その人の生命全体のバランスが崩れた結果、その一部が症状として現れているのではないか、と考えるようになります。
だから腰に痛みがあっても、背骨や筋肉だけを見て終わることはありません。
背骨を中心としたエネルギーの流れはどうか。身体全体のバランスはどうか。チャクラの位置に歪みはないか。感情や思考の影響はあるのか。
そうした複数の層を重ねながら、その人全体を見ていく。
すると、セラピーの組み立ても変わってきます。
身体から整えた方がいい方もいます。
心理面から入った方が変化しやすい方もいます。
イーマ・サウンド®︎による音のエネルギー調整から始めることで、全体が整い始める方もいます。
私は、生命エネルギーは川の流れに例えると、上流から下流へ流れる性質があると考えています。
その流れの中で、エネルギー体はもっとも上流にあり、心や感情へ、そして下流の肉体へと影響が及んでいきます。
だからといって、身体への施術には意味がないということではありません。
上流に流れがあるからこそ、下流から整えることで全体の流れが変わることもあります。
生命は一つにつながっています。
だから、その方にとって入りやすい入口から整えていけば、身体も、心も、エネルギーも互いに影響し合いながら、その人の生命全体の流れが整っていくのだと思います。

この視点を持つようになってから、私はほとんど症状を追いかけなくなりました。
症状を治すことよりも、その人の生命全体が、本来のバランスを取り戻していくことを大切に考えるようになったのです。
見方が変わると、身体の反応も変わることがある
そういう見方もあるんですね
ある日、70代の女性が股関節の痛みを抱えて来院されました。
歩くたびに痛みが走り、外出するのがつらい状態とのことでした。
施術に入る前、私はいつも今の身体の状態を説明するのですが、
「私は、背骨の内側には生命エネルギーの流れがあり、そのバランスが身体にも影響していると考えています。」とお話ししました。
その方は少し考えたあと、「なるほど、そういう見方もあるんですね。」と素直に頷かれました。
その後、イーマ・サウンドセラピーのエネルギー調整を行っていると、
「先生、さっきより痛くなくなってきました。」
セラピーの途中で、そんな言葉が返ってきました。
そして、調整が終わると歩く動作が軽くなっていて、痛みなく帰れそうだと喜んでいただけました。。
もちろん、その結果だけでエネルギー体の存在を証明できるわけではありません。
けれど私にとって印象に残ったのは、「痛みが軽くなったこと」だけではありませんでした。
その方が、自分の身体を理解する新しい視点を受け入れられたことだったのです。

そして、もう一つ印象に残っていること
60代のある女性は最初の二回、イーマ・サウンドセラピーのエネルギー調整を受け、
「私は鈍感なんでしょうか、何も感じません。」とおっしゃっておられました。
ところが三回目。
エネルギー調整の途中で、
「あれ、なんだか手がポカポカと温かくなってきました。」と小さな声で話されました。
セラピーが終わると、来た時にはガチガチに固まっていた首や肩、腰の重さが抜け、首も自然に回るようになっていました。
帰りは一時間以上車を運転されたそうですが、後日、
「いつもなら目が疲れてしょぼしょぼするのに、その日は視界が明るく感じて、運転がとても楽でした。」と教えてくださいました。
実は三回目のエネルギー調整をする前に、私は、
「どれだけエネルギーの調整をしても、ご自身の心の状態や考え方が変わらなければ、また元に戻りやすいことがあるんです。」
とちょっと厳し目のお話していたのです。
後日来られたときに、
「あの時のお話をセラピーを受ける前に聞いて、反省しました。本当にそうですね。」と深く頷かれていました。
その一言には、
ご自身の身体の変化だけでなく、これまでの生き方や心の持ち方まで含めて、何か大切なことに気づかれたような深い実感が込められているように感じました。
その表情が今でも忘れられません。
私自身も、遠回りをしました
実は、私も最初から今の考え方だったわけではありません。
身体だけを学んでいた時期もあります。
心理を深く学んでいた時期もあります。
反対に、エネルギーや気功的な技術だけで、できるだけ多くの症状に対応しようと考えていた時期もありました。
けれど、そのどれか一つだけでは十分ではありませんでした。
身体へのアプローチが必要な方もいます。
心理セラピーによって人生が大きく動き始める方もいます。
イーマ・サウンドによるエネルギー調整がきっかけとなり、身体も心も変化していく方もいます。
だから私は、一つの方法や理論ではなく、どこから整えることが、その人にとって一番自然なのか。
それを見極めること、そしてご自身の内側にあるものに向き合っていただくこと、それがセラピストの大切な役割だと思っています。

人には、本来回復する力があります
三十年以上、多くの方と向き合ってきて確信していることがあります。
それは、人には本来、自ら回復しようとする力があるということです。
身体への施術も、心理セラピーも、イーマ・サウンドによるエネルギー調整も、
誰かが外から、回復する力そのものを与えているものではありません。
セラピーは、その人が本来持っている回復する力を発揮しやすい状態へ整えるためのものです。
私がエネルギー体という視点を大切にしているのも、その力を信じているからです。
身体だけでもなく、心だけでもなく、生命(いのち)全体を見つめる。
それが、今の私がセラピーを行う上で大切にしている、人への見方です。

編集者プロフィール

からだ道場【猫の穴】代表の
稲田 やすひろ です。
東洋医学や心理学、
身体療法やエネルギーワークを探究しながら、
30年以上にわたり多くの方の心と体に向き合ってきました。
私が大切にしているのは、
「不調をなくすこと」だけではなく、
その人らしい健康と暮らしを育て、
本来の生命力が発揮されることです。
このコラムでは、
そんな視点から日々感じていることや、
健康・暮らし・生き方のヒントを綴っています。
どんな状態にも理由があります。
その声を軽く扱わず、丁寧に向き合うことを大切にしています。



