Column

病院では異常がないのに、なぜ身体はつらいの?―「トラウマ」という視点から見えてくること
  • 2026/06/29
  • 症状・からだのサイン

「異常なし」なのになんでこんなにつらいのか?

頭痛。
首や肩の痛み。
腰痛。
背中の張り。
動悸がする。
夜、眠れない。
疲れが抜けない。

でも病院では「異常なし」と言われる。

年齢でしょうとか、ストレスですねとか、
そんなふうに言われた経験はありませんか。

もちろん、身体の機能に異常がないことは安心できることです。

しかし一方で、
「異常がないのに、なぜこんなにつらいのだろう。」

という疑問だけが残ってしまう人も少なくありません。

そんな時に知っていただきたい考え方があります。

それが「トラウマ」という視点です。

トラウマとは、大きな出来事だけではない

「トラウマ」なんていうと、
事故や災害、
大きな事件の被害者を思い浮かべる方が多いでしょう。

もちろん、それもトラウマになります。

しかし近年では、
もっと広い意味で捉えられるようになっています。

大切なのは、
何が起きたかではなく、
その時に身体や心が受け止めきれなかったことなんです。

例えば、
* 予想していなかった出来事だった
* とてもショックだった
* 一人で抱え込まなければならなかった
* どうしていいか分からなかった

こうした状況が重なると、
周りから見れば些細に思える出来事でも、
身体には深いトラウマとして残ってしまいます。

何がトラウマになるかは、
人それぞれなのです。

実は、毎日のストレスも身体に残る

さらに興味深いのは、

トラウマは一度の大きな出来事だけではなく、
毎日の積み重ねでも生まれることがあるという点です。

家庭でいつも気を遣う。

職場で緊張が続く。

頼まれると断れない。

ちゃんとしなければ、と気を張り続ける。

本音よりも、
周りを優先する毎日。

こうした小さなストレスの積み重ねは、
心理学では「日常的混乱(Daily Hassles)」とも呼ばれています。

そして、この日常的混乱は、
人生におけるの重大事以上に、
健康への影響が大きいことがあるとも言われています。

だから、本人は「これくらい普通だから」と思っていても
身体は限界を超えてまで頑張っている状態なのかもしれません。


身体は、あなたを困らせたいのではない

最近の、身体の症状とストレスとの関係の研究では、

頭痛や肩こり、
不眠、
動悸、
自律神経の乱れ、
さらには自己免疫疾患なども、

「トラウマ」との関わりが影響していると言われています。

もちろん、
すべての症状がトラウマだけで説明できるわけではありません。

原因は一つではありませんし、
必要な医療を受けることも大切です。

しかし、
身体にはもう一つの見方があります。

それは、
身体は壊れてしまったのではなく、あなたを守ろうとして反応している
という見方です。

長い間続いた緊張。
安心できなかった環境。
我慢を重ねてきた時間。

身体は、
そのすべてを覚えています。

だから、
今もその時と同じ反応を続けているだけなのかもしれません。

身体を理解することが、人生を取り戻す第一歩です


もしあなたが、
「病院では異常がないのに、なぜこんなにつらいのだろう。」

そう感じているなら、
どうかご自身とご自分の身体を責めないでください。

あなたの身体は、
壊れてしまったのではありません。

懸命にあなたを守り続けてきたのです。

そして、
この身体の反応には理由があるのです。

理由があるものは、
理解することができます。

理解できるものは、
整えていくことができるんです。

身体は、変えられますし、変わります。
そして、身体が変わると、人生も動き始めます。


※この「トラウマ」視点からのコラムは次回に続きます。
編集者プロフィール
からだ道場【猫の穴】代表の
稲田 やすひろ です。

東洋医学や心理学、
身体療法やエネルギーワークを探究しながら、
30年以上にわたり多くの方の心と体に向き合ってきました。

私が大切にしているのは、

「不調をなくすこと」だけではなく、

その人らしい健康と暮らしを育て、
本来の生命力が発揮されることです。

このコラムでは、
そんな視点から日々感じていることや、
健康・暮らし・生き方のヒントを綴っています。

どんな状態にも理由があります。
その声を軽く扱わず、丁寧に向き合うことを大切にしています。

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