コラムColumn
- 「感じないようにしてきた」ことが、からだを硬くする——感覚の封じ込めと解放の話
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- 2025/06/11
- からだとこころ
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がんばることは、これまでのあなたにとって生きる術だったのかもしれません。
ちゃんとしていたかった。弱さを見せたくなかった。人に迷惑をかけたくなかった。どこかで、そう思ってきたんじゃないでしょうか。
40代になったいま、ふと気づくと、“何でも自分でできる自分”にはなれているのに、なぜか深いところで、いつもひとりぼっちな気がしてしまう。
その寂しさを、誰かに説明できないまま、また今日もがんばって、笑って、平気なふりをする。
だけど──そのがんばりが、からだに「こわばり」となって表れていること、気づいていますか?
体は、感じなかったことを覚えている
たとえば、肩や背中がいつも張っていたり、呼吸が浅くなっていたり、マッサージを受けてもすぐにまた硬くなってしまったり。
それは単に「姿勢が悪い」せいではないかもしれません。
ほんとうは──あなたが、感じないようにしてきた感情が、そのままからだに残っているのかもしれないのです。
悔しさ、さみしさ、心細さ。誰にも見せたくなかった涙。それを感じたら崩れてしまいそうで、「そんなこと思っちゃいけない」と、心の奥にしまい込んだ気持ち。
感じないふりをすることで、あなたはあなたを守ってきたんですね。
でも、からだは正直です。感じなかったものほど、皮膚の奥や筋肉や神経に、まるで隠れるように刻まれていきます。
感情を閉じることは、防衛であり、知恵でもあった
誤解しないでくださいね。
感じないようにしてきたあなたは、間違ってなんかいない。それは、生きるために必要だったから。そうやって、精一杯がんばってきたからこそ、今のあなたがいる。
だけど。もし、もう十分にがんばってきたと感じているのなら──そろそろ、感じないふりを、終わりにしてもいいのかもしれませんよ。
感じなかった感情に触れるのは、こわいことです。でも、それが流れ出せば、からだも呼吸もしなやかさを取り戻していく。
「感じること」は、痛みではなく、いのちの大海の波の揺れということだから。
やさしく触れられると、からだが思い出す
こころ解放セラピーでおこなうエネルギーワークでは、あなたの深い感情に手を差し伸べます。何も話していないのに、涙がこぼれる方がいます。
それは、からだが安心した証です。
「もう、がんばらなくていいんだよ」「ここでは、感情を感じても大丈夫なんだよ」
そうやって、からだが安全を取り戻したとき、閉じていた感覚がほんの少しずつ、戻ってきます。
あなたが閉じた感情は、いま、解きほぐされるのを待っているだけです。
感じることは、生き直すこと
からだがゆるんで、呼吸が深くなって、思いがけないほど軽くなる瞬間があります。
それは何かを“治した”というよりも、本来の自分に“つながりなおした”感覚。
わたしはそういう場面に、何度も立ち会ってきました。
感じなかったことには、ちゃんと理由があった。でも、もうその時期は終わったのかもしれません。
今のあなたなら──少しずつ、少しずつ、自分のからだと気持ちを取り戻していける。
そんなふうに思えたときが、きっと始まりです。
その歩みに、わたしが寄り添えたら。それは、セラピストとしてのいちばんの喜びです。
編集者プロフィール

からだ道場【猫の穴】代表の稲田 泰弘
です。
どこに行っても「異常なし」と言われて、それでも体も心も、つらい日々が続いている──
「これ以上、誰に何をどう相談したらいいのか…」そんなふうに感じていませんか?
京都市にある『からだ道場 猫の穴』は、言葉にしづらい不調や、説明のつかないつらさを抱えているあなたに、じっくりと寄り添うためのセラピーサロンです。
医療や他の代替療法では届かなかった場所に、やさしく、でも確かに響いていく──
それが、私の目指す「調律」です。
どこに行っても「異常なし」と言われて、それでも体も心も、つらい日々が続いている──
「これ以上、誰に何をどう相談したらいいのか…」そんなふうに感じていませんか?
京都市にある『からだ道場 猫の穴』は、言葉にしづらい不調や、説明のつかないつらさを抱えているあなたに、じっくりと寄り添うためのセラピーサロンです。
医療や他の代替療法では届かなかった場所に、やさしく、でも確かに響いていく──
それが、私の目指す「調律」です。