Column

「検査では異常なし」と言われても、つらいものはつらい
  • 2025/06/25
  • こころと感情
「異常はありませんでした」

病院での検査の後そう言われたことがある方は、少なくないと思います。

眠れない。
朝起きても疲れが取れない。
胸がざわつく。
呼吸が浅い。
気分が落ちる。
理由もなく涙が出る。

それでも、検査では問題なしという診断。

責められたわけではないのに、
なんだか自分のつらさまで「なかったこと」にされたように感じてしまう。

そんな話を、クライアントさんからもよくうかがいます。

数字に出なくても、つらさはある


体には、数値で見えるものがあります。
一方で、数値には出にくいものもあります。

神経の緊張。
感情の揺れ。
ずっと抜けない不安感や焦り。
言葉にならない違和感。

そうしたものは、検査結果には表れなくても、
たしかに体に影響します。

だから、
「異常なしだったのに、やっぱりおかしい気がする」
という感覚は、気のせいではないんです。

むしろ、
その違和感こそが、体からのサインでもあります。

名前のない不調は、孤独になりやすい


不調に名前がつくと、少しほっとすることがあります。

たとえすぐに治らなくても、
「これはこういう状態なんだ」とわかるだけで、
少し気持ちが落ち着くことがあるからです。

でも、
「原因はわかりません」
「異常はありません」

そう言われると、
自分のつらさをいったいどこに置いていいのか。

私は確かにつらい。
でも、それを説明する言葉がない。
誰にもわかってもらえない気がする。

この苦しさは、症状そのもののつらさに加えて
わかってもらえなさが重なることで、さらに深くなっていきます。


つらさには、背景があることがある


猫の穴では、
こうした不調を単なる症状としてだけでなく、
自律神経や感情の反応の積み重なりとして見ていきます。

ずっと気を張ってきた。
我慢が当たり前だった。
本当はしんどかったのに、立ち止まることができなかった。

そうしたことが続くと、
体は緊張したままになります。

その結果として、

眠れない。
呼吸が浅い。
胸がつかえる。
疲れが抜けない。
気持ちが落ち着かない。

そんな状態がつらさの背景にあるんです。

検査では拾えないけれど、
体はちゃんと反応しているのです。

“わかってもらえた”とき、体がゆるむことがある


大切なのは、
症状に名前をつけることではありません。

今、自分の体に何が起きているのか。
何を感じていたのか。
それに言葉が与えられること。

「私はずっと緊張していたんだ」
「本当は怖かったんだ」
「頑張っているつもりで、ずっと無理をしていたんだ」

そうやって、自分の感じに輪郭が出てくると、
緊張していた体が少し力を抜きはじめるんです。

それは、
体が「ようやくわかってもらえた」という反応かもしれません。

感じていることを、消さなくていい


言葉がなくても、数字に出なくても、
今ここにあるつらさは、間違いなく確かなものです。

だから、誰かの言葉で消されなくていいし、
自分で「こんなことで」と小さくしなくてもいい。

感じていることを、そのまま認めること。
そこから、回復が始まるのだと思います。


編集者プロフィール
からだ道場【猫の穴】代表の
稲田 やすひろ です。

東洋医学や心理学、
身体療法やエネルギーワークを探究しながら、
30年以上にわたり多くの方の心と体に向き合ってきました。

私が大切にしているのは、

「不調をなくすこと」だけではなく、

その人らしい健康と暮らしを育て、
本来の生命力が発揮されることです。

このコラムでは、
そんな視点から日々感じていることや、
健康・暮らし・生き方のヒントを綴っています。

どんな状態にも理由があります。
その声を軽く扱わず、丁寧に向き合うことを大切にしています。

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