Column

「良くなったのに、また戻る」──不調のループから抜け出すには
  • 2025/10/17
  • 症状・からだのサイン
「治ったはずなのに、またつらくなってきた」
「休んでいるのに、いつの間にか不調が戻っている」
「感情の波も、何度も繰り返している気がする…」

そんな経験はありませんか。

整体やマッサージでその場は楽になる。
でも数日すると、また同じ場所がしんどくなる。

検査で「異常なし」と言われても、つらさは続く。

この繰り返しが続くと、
心の奥に小さなあきらめが積み重なってしまいます。

「私は根本的には良くならないのかな」
「ちゃんとしているのに、どうして…?」

でも、これはあなたが弱いからでも、努力が足りないからでもありません。
ちゃんと“戻る理由”があります。

なぜ“不調は戻る”のか


私たちの体には、本来「回復していく力」があります。
それでも同じ不調が繰り返されるとき、起きているのは――

体が、同じ条件の中で同じパターンを再生している
ということです。

たとえば、

・ほぐしても、同じ姿勢・同じ使い方に戻れば同じ場所が固まる

・休んでも、緊張のスイッチが入りっぱなしなら疲れは戻る

・気分転換しても、生活の圧が変わらなければ心はまた重くなる

“その場で変化が起きても”、
日常の条件が変わっていなければ、体はいつもの形に引き戻されます。

まるで癖のついたゴムが、自然と元の形に戻るように。

一時的な改善と、「戻りにくさ」の違い

一時的な改善

今ある症状がやわらぐこと。
これは大切なステップです。
(ここがないと、前に進めません)

戻りにくさ

土台の条件が変わり、
同じパターンが再生されにくくなること。

枝葉を切るよりも、
「同じ枝葉が伸びてくる土」を変えていく感覚に近いかもしれません。

“ループ”を作っているのは何か


不調が戻るとき、よくあるのはこの3つです。

1)負担のかけ方が変わっていない

姿勢、動き方、力の入れ方。
同じクセが残っていると、同じ場所に戻ります。

2)回復の条件が足りていない

睡眠の質、食事、休む時間。
回復が働く条件が足りないと、体は戻りやすい。

3)“緊張が当たり前”になっている

気づけば呼吸が浅い。
肩が上がる。
頭が休まらない。

この状態が続くと、体は「構えた状態」を基準にしてしまいます。

体は、同じ曲をリピートする


ここで、ひとつ比喩を使います。

体はときどき、
同じ曲をリピート再生するプレーヤーのようにふるまいます。

曲を止めるには、
“音量(症状)”を下げるだけでは足りないことがある。

再生ボタンを押している条件――
つまり「ループを作る環境」を変える必要があります。


まずは「戻る条件」を一つ見つける


不調のループから抜けるとき、
いきなり全部を変える必要はありません。

まずは一つだけ。

・いつ戻りやすい?(朝/夕方/仕事後/人に会った後)

・どんなとき戻る?(忙しい週/睡眠不足/気を張る日)

・体のどこが最初に合図を出す?(胸/喉/肩/胃腸)

“戻る条件”がひとつ見えるだけで、
ループの外側に立てる瞬間が生まれます。

そこから、整え方が変わります。

「戻る」は失敗じゃない


良くなったのに戻る。
それは落ち込みます。

でも戻るのは、あなたのせいではありません。

まだ戻りやすい条件が残っているだけ。

条件が変われば、戻り方も変わります。
戻る頻度も、戻りの深さも変わっていきます。


不調のループは、
“あなたを責めるため”にあるのではなく、
「ここを見直すと楽になる」というサインなのかもしれません。
編集者プロフィール
からだ道場【猫の穴】代表の
稲田 泰弘(いなだ やすひろ)です。

病院では「異常なし」と言われたけれど、
体や心のつらさが続いている。
その状態を、私は軽く扱いません。

からだ道場猫の穴では、
あなたの感覚を尊重します。
その上で、体と心の反応を一緒に確かめていきます。

このコラムは、
日々の現場や対話の中で感じてきたことを
ひとつの視点として綴っています。

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