
コラムColumn
- 季節に逆らって生きると、からだは少しずつ疲れていく
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- 2025/08/04
- 生き方とからだのつながり
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なんとなく気分が重い。眠っても疲れが抜けない。春なのに動き出せない。秋になると少しさみしくなる。
そんなふうに、季節の変わり目に心やからだが揺れることはありませんか。
私たちはつい、「気のせいかな」「たまたま調子が悪いだけかな」と思ってしまいます。
でも本当は、からだは思っている以上に、季節の影響を受けています。
それは人もまた、自然の一部だからです。
からだは季節に合わせて変化している
東洋医学では、季節ごとに心身の働き方が変わると考えます。
春は、芽吹きの季節。内にためていたものが、外へ向かって動き始めます。
夏は、開いていく季節。活動が高まり、外との交流も増えやすくなります。
秋は、収めていく季節。広がったものが少しずつ内側へ戻り、呼吸も感情も深まりやすくなります。
冬は、ためる季節。大きく動くより、休み、蓄え、次に備える時間です。
自然界がそうであるように、私たちのからだも本来は、この流れに合わせて変化しています。
だから、春にそわそわしたり、夏に消耗したり、秋にもの思いが深くなったり、冬に動けなくなったりするのは、季節の影響を受けたとても自然な反応でもあります。
しんどさは、季節だけのせいではない
ただ、問題はそこに現代の暮らしが重なることです。
本来なら、
春は少しずつ動き出し、夏は発散し、秋は整え、冬は休む。
そういう流れがあってもよいはずなのに、私たちは一年中あまり変わらないペースで働き、考え、情報を浴び続けています。
冬でも休めない。夏でもクーラーの中で冷える。春でも緊張が強く、動き出せない。秋でも内側に戻る余白がない。
そうやって自然の流れと暮らしがずれていくと、からだは少しずつ無理を引き受けるようになります。
気分の波。呼吸の浅さ。胃腸の不調。眠りの質の低下。疲れが抜けない感じ。
それは単なる体力不足ではなく、本来のリズムから外れているサインかもしれません。
季節ごとに、からだのテーマも変わる
春は、動き出す力が強まる分、気の巡りが乱れるとイライラや緊張として出やすくなります。
夏は、外へ開く力が強まる分、消耗しすぎたり、冷えとの落差で自律神経が乱れやすくなります。
秋は、内側へ戻る力が働くぶん、感受性が高まり、気持ちが沈みやすくなることがあります。
冬は、本来ためる時期なのに無理を続けると、深いところの疲れが抜けにくくなります。
大切なのは、その変化を「弱さ」と決めつけないことです。
季節によって揺れるのは、からだが自然とつながっている証(あかし)でもあります。

自然のリズムに合わせる、ということ
自然に合わせた生き方というと、何か特別なことをしないといけないように感じるかもしれません。
でも実際は、もっと小さなことです。
朝の光を浴びる。旬のものを食べる。夜は少し早めにスマホを置く。寒い時期には、無理に元気になろうとしすぎない。秋には少し静かな時間を持つ。春には固まっていた体を少し動かしてみる。
そういうことの積み重ねで、からだは「今どの季節にいるのか」を思い出していきます。
整えるというのは、何かを頑張って足すことだけではありません。
今の季節に合わない力みを、少し手放すこと。
それもまた、大事な整え方です。
からだが季節を思い出すとき
不調が続くと、自分のからだを信じにくくなることがあります。
でも、からだは壊れてしまったのではなく、ただ無理の仕方が続いて、本来のリズムを見失っているだけかもしれません。
自然には、巡りがあります。
外へ向かう時期。ひらく時期。静まる時期。ためる時期。
私たちもまた、その循環の中にいます。
少し立ち止まって、今の自分がどの季節にいて、本当は何を必要としているのかを感じてみる。
それだけでも、からだは少しずつ応え始めますよ。
編集者プロフィール

からだ道場【猫の穴】代表の
稲田 泰弘(いなだ やすひろ)です。
病院では「異常なし」と言われたけれど、
体や心のつらさが続いている。
その状態を、私は軽く扱いません。
からだ道場猫の穴では、
あなたの感覚を尊重します。
その上で、体と心の反応を一緒に確かめていきます。
このコラムは、
日々の現場や対話の中で感じてきたことを
ひとつの視点として綴っています。
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