Column

感情の居場所がないとき、人はからだにしまい込む
  • 2025/07/28
  • こころと感情の整え方
不調と“こころの置き場所”の関係について、
あるクライアントさんの症例から。

40代女性、真面目で責任感が強く、職場でも家庭でも「しっかり者」として周囲から頼られてきた人です。
だけど最近、息がしにくくて眠れない。
胸が締めつけられる感じがして、病院で検査してもらったけれど「異常なし」と言われ、
つらさだけが残るとおっしゃいました。

お話を丁寧に聞いていくと、
子どものころ「泣いちゃダメ」「怒ってはいけない」「甘えてはいけない」と親から言われて育ち、
その後も自分の感情をずっと抑えて生きてこられたことがわかってきました。

「感情を出すこと=わがまま、迷惑、悪いこと」
そんな信じ込み(ビリーフ)が潜在意識の深くに根を張っていたのです。

感情の「居場所」がないと、からだが引き受ける

人は、感じたものを感じたままに表現できるとき、心身は自然とバランスがとれるものです。

でも、「感じること」すら許されなかった感情が行き場をなくしたとき、行き先はどこにいくのでしょうか?

そう、からだに向かうんです。

胸の痛み、喉の詰まり、胃の重さ、背中のこわばり……
これらの症状の多くは、物理的な原因よりも「しまい込んできた感情」が滞っているサインであることが多い、
これは臨床の現場にいると本当によくわかります。

それは、「無意識に体が引き受けた重い荷物」を背負っている状態かもしれないのです。

インナーチャイルドという言葉の本質

心理学で「インナーチャイルド」ということをよく言われますね。
私たちは、大人になっても、幼少期の経験や感情が心の奥底に残り、
現在の思考や行動に影響を与えることがあります。

その潜在意識にある子どもの部分を「インナーチャイルド」と呼びますが、
それは“見捨てられたままの自分の感情”そのもの、と言えるのかもしれません。

怖かった

悲しかった

寂しかった

でも言えなかった

そのとき表現できなかった「小さな自分」が、今もまだ体の中に棲んでいる。
だから、今のあなたが無理をすると、その子はまた傷つくし、また沈黙する。

でも、体は覚えています。
その子はずっとそばにいて、ずっとサインを送り続けているんです。


音の振動が“感情の層”に届くとき

からだ道場で提供しているイーマ・サウンドセラピーでは、
体に溜まった情報エネルギーの“ずれ”に対して、特定の周波数の音で共振共鳴を起こします。

音が肉体の奥深くに、そしてさらに上位にある「見えないからだ」にまで届いていくと、
しまい込まれていた感情の層にアクセスされることがよくあります。

実際、先ほどの女性はセッション途中に、突然涙が止まらなくなりました。

「悲しかったって、今やっと言えた気がします」
そう言って、初めて自分の感情に触れたあのとき、呼吸がふっと楽になっていました。

音は言葉よりも先に届きます。
潜在意識の層に、安心の“場”が生まれたとき、心と体は本来のリズムを取り戻そうとするのかもしれません。

感情に「居場所」をつくるということ

大人になるほど、「感情よりも理性」が求められる場面は増えていきます。
でも、どれほど論理で武装しても、感情を見ないふりを続けていると、からだが替わりに語り出すのです。

からだにあらわれた不調は、「ここに私の感情がいるよ」というサインなのかもしれません。
もしも、あなたの体がずっと我慢してきた「幼いころのあなた」を抱えているとしたら——

その声にどうか耳を澄ませてみてください。
その時に「感じること」は、決して自分の弱さではなく、回復のはじまりなのですから。

自分との対話を感じるために、からだ道場猫の穴のセラピーがお役に立てるかもしれません。
編集者プロフィール
からだ道場【猫の穴】代表の
稲田 泰弘(いなだ やすひろ)です。

病院では「異常なし」と言われたけれど、
体や心のつらさが続いている。
そんな方と、これまで多く向き合ってきました。

からだ道場猫の穴では、
言葉にしづらい不調や違和感に対して、
決めつけず、その人の感覚を大切にする
「調律」という考え方を軸にセラピーを行っています。

このコラムは、
日々の現場や対話の中で感じてきたことを
ひとつの視点として綴っています。

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