京都自律神経センターの健康コラム

優しい刺激がストレスの緩和に効果的です

コラム
2018年09月19日

長期のストレスにより脳が変性する

実験用の若いラットに慢性的なストレスを与えると、その直後の行動パターンと脳の構造の変化について調査した研究報告があります。

この場合の慢性的なストレスとは、1日6時間の身体拘束を21日間与え続けるというものでした。

その結果、報酬に対するモチベーション反応が低下し、急性のストレスが与えられた時のリアクションも大きなものになりやすいということがわかりました。

もう少しわかりやすくいうと、慢性のストレスを抱えていると、本来なら楽しいと思えることにも興味が湧かなくなり、ちょっとしたストレス要因にも不安になったり逆に攻撃的になったりするということなんです。

そして、実際にこれらの行動反応の変化を裏付けるような脳構造の変化も観測されたようです。

それは、ヒトであれば知性や理性に関係する前頭前野や海馬の神経の樹状突起の形状が単純化し、これとは対照的に不安や攻撃に関係する扁桃体の神経樹状突起の形状が密になっていたのです。

Psychoneuroendocrinology. 2012 Jan; 37(1): 39‒47. より】

ではこのような脳の変性を未然に防ぐにはどうしたらいいんでしょうか?

報酬系に関わる脳の領域を賦活させる

報酬系という脳のはたらきとは、簡単にいうと何か心地いいことが起きた時に「快感」を感じさせる脳内のしくみのことです。

脳には場所によってはたらきの異なる作用があります。

おでこのあたりに位置する脳の眼窩前頭皮質といわれる場所は、報酬の価値をモニタリングしたり、学習や記憶に関係し、現在行っている行動に変化を引き起こすことが示されています。

この部位を刺激されると、どのようなことが起こるかという実験もされていますよ。

実験では、手のひらに柔らかな触覚を加えた条件と、強めの触覚を加えたもの、さらに甘味液で味覚を、バニラエッセンスで嗅覚をし、その時の脳活動を機能的MRIでみてみたそうです。

その結果、心地よい快刺激では(柔らかな刺激・甘味液・バニラエッセンス)ではいずれも前頭眼窩野と呼ばれる報酬系に関わる高次の脳領域が賦活されました。

それに対して、強めの刺激ではそのような反応は見られず、基本的な感覚処理に関する領域に反応がみられただけでした。

Neuroreport. 1999 Feb 25;10(3):453-9.より】

優しくソフトな整体で情動をコントロール

整体というと、未だにボキボキ骨を鳴らしたり、グイグイ筋肉を揉んだりするイメージを持っておられる方もまだいらっしゃいます。

それらの方法がいい悪いということではなく、自律神経がバランスを乱したり、ストレスによって情緒的に不安定になっていたりする場合は、優しい刺激のソフトな整体で体に変化を起こすことができるのです。

内臓が納まっているお腹や脳が入っている頭、手足の関節なども、優しい刺激で十分に体のバランスは整えることができます。

自律神経失調や不定愁訴でお悩みの方は、多かれ少なかれストレスのかかった状態になっておられます。

先の研究データで示されているように柔らかな刺激による整体で、心身のバランスを整え、ストレスに負けない体作りをしていかれることをオススメします。

 

自律神経を整えて免疫力を高める方法

コラム , セルフケア
2018年09月11日

自律神経と免疫の関係

免疫の力が落ちたというと、風邪をひきやすかったり体調が不安定で疲れやすいなどといったイメージがありますね。

実際、私たちの体を支えコントロールしてくれている大きなしくみが二つあるのですが、その一つが免疫系です。

もう一つが神経系で、中でも体全般の調子をコントロールしているのが自律神経です。

免疫系と自律神経系はお互いに協力し合いながらはたらいているので、自律神経のバランスが崩れてしまうと免疫の力は正常に働きにくくなってしまいますよ。

たとえばストレスを強く感じて「焦り」や「不安」などの感情にとらわれてしまったり、食事・運動・休息などの生活習慣が乱れていると交感神経の過緊張が起こりやすくなります。

そして長期間にわたって交感神経優位の状態が続くと、免疫力も落ちてしまいます。

免疫系は別名では体の防護システムともいわれていますので、細菌・ウイルスはもちろんのこと、食べ物や空気中の有害物質を排除する力も低下してしまいます。

当然ながら内臓の働きが弱り、心肺機能も落ちてしまいますよ。

心肺機能が落ちると、心臓に負担がかかってくるので、さらに交感神経が優位になるという悪循環に陥ってしまいがちです。

心臓の疲れは免疫に関係する臓器である脾臓(ひぞう)や胸腺への血行不良を起こすので、免疫力もまた落ちてしまいます。

さらに粘膜が弱かったり、盲腸のはたらきが落ちてしまうと感染症を起こしやすくもなるのです。

免疫力を上げるためにできること

以上のように免疫と自律神経が密接に関係しているということはお分かりになったと思います。

なので、免疫自体を強化するという手もあるのですが、自律神経のバランスを回復させるということが結果的に免疫力を高めることになるのですね。

ストレスをリリースする

自律神経は、感情や心理的なストレスに影響を受けますので、ストレスに対処できるようになることが大切なポイントです。

そうはいってもなかなか対処できないから困っているという方もいらっしゃるかもしれませんね。

では、そんな時に一人でできる簡単なストレス解消法をお伝えしましょう。

セルフケアのやり方

  1. まず、ストレスだと感じることを思い描いた時に体に感じる感覚をチェックしてみてください。息が詰まるとか、みぞおちに嫌な感じがあるとか。
  2. 次に、両手の指の腹でおでこに軽く触れます。
  3. そして頭の中で、ストレスに感じることを思い描いてみます。
  4. 思い描きながら両目を大きく上ー横ー下ー横ー上と大きな円を描くように回してみましょう。右回しに3回、次に左回しに3回大きくゆっくりと回します。
  5. 両手をおでこから離して、もう一度ストレスに感じることを思い描いてください。最初に感じた時の体の感覚や思い描いた時の気持ちの状態を再度チェックしてみます。
  6. ストレスに感じる感覚が減っていたら成功です。

このセルフワークをやるときは、一人で居られる空間で静かに仰向けに休んだ状態でやってくださいね。

京都自律神経センターでは、ストレスや感情による体の不調のチェックを行っていますので、セルフケアだけでは追いつかないような心身の不調でお困りの場合はご相談くださいね。

生活習慣を見直す

もう一つ大切なことは、あなたの日常の生活習慣を見直すことです。

自律神経の不調の原因は生活習慣の中に潜んでいることも多いからです。

生活習慣を見直すと言ってもそんなに難しいことではありません。

  • 食事
  • 睡眠
  • 運動

この三つの角度からご自分の生活習慣を洗い出してみることです。

たとえば、ダイエットのために極端に食事を制限していたり、夜遅くまで起きて睡眠時間が足りていなかったり、運動を全くしていなかったり。

上の三つは生きるための基本ですし、自分で責任を持たないといけない部分です。

わかりやすく言えば、「食う・寝る・遊ぶ」をもう一度見直してみましょうということですね。

もしどう生活習慣を改善していけばいいかわからないなら、あなたに合ったサポートをさせていただきますのでご相談ください。

睡眠ホルモンからみた不眠症を改善する4つの方法

不眠症
2018年08月13日

最近よく眠れていますか?

日本人の標準的な睡眠時間は6~8時間とされています。(厚生労働省『健康づくりのための睡眠指針2014』)

私たちの人生の3分の1は眠っているわけですが、この大切な睡眠の時間を一番意識することになるのは、睡眠障害に陥った時かもしれませんね。

睡眠障害はよく不眠症と一口に言いますが、大きくは4つのタイプに分けることができます。

  1. 寝つきが悪い(入眠障害)
  2. 睡眠中に目が覚めて、なかなか寝付けなくなる(中途覚醒)
  3. 朝早くに目覚めてしまう(早朝覚醒)
  4. ぐっすり眠ったという感覚が得られない(熟睡障害)

それに加えて、日中の倦怠感や意欲・集中力の低下、食欲の低下など身体や精神に不調が現れる状態になったのを不眠症といいます。

びっくりするかもしれませんが、現在日本では5人に1人が不眠症と言われており、その割合は年々増え続けています。

睡眠で休養が十分に取れていない人の割合は、性別・年齢階級別でみると、男女ともに2050歳代で2割を超えています。

(平成 28 年 国民健康・栄養調査結果の概要より)

また、日本睡眠医学協会の調査によると、2020年には不眠症で悩む人の数が3000万人を越えるとの報告もされています。

良質な睡眠は健康の必要条件です

人が生きていく上で必要な基本活動として、呼吸する・食べる・眠る・動くの4つがあります。

その中の一つである「眠ること」に障害が起きると、健康な日常生活を送ることができなくなってしまいます。

では人はなぜ眠れなくなるのでしょうか?

不眠になる原因は人によって様々ですが、先ずはあなたの不眠の原因を特定する必要がありますね。

不眠症の主な原因

不眠の原因には、体の病気や症状によって引き起こされるものがあります。

痛みの疾患や呼吸器・消化器の疾患があって、苦しくて眠れない状態です。

また、薬やアルコール・カフェインなどの化学物質が原因で眠れないこともあります。

以上のような場合は、ある程度原因がはっきりしているので、疾患の治療や薬の服用を変えるなどの対処が必要になりますね。

当院に来られる方で最も多いのが以下の3つです。

  1. ストレスからくる不眠
  2. 自律神経失調、うつ、パニック障害に伴う不眠
  3. 生活リズムの乱れや環境の変化に適応できなくて起こる不眠

睡眠とホルモンの関係

メラトニンというホルモンをご存知でしょうか?

メラトニンは脳の松果体(しょうかたい)という部分で作られるホルモンで、別名「睡眠ホルモン」と呼ばれています。

メラトニンが分泌されると、体は眠りに入っていきやすくなるのです。

日中はほとんど分泌されませんが、夜になると分泌されるという特徴があります。

つまり、夜になってメラトニンがしっかりと分泌されるような生活に立て直すことが、不眠症改善のカギとなるのですね。

不眠症の改善のために

まず、今の習慣の中で眠りに良くないことをやめましょう。

寝る前2~3時間前からテレビ・パソコン・スマホは見ない。

目からの過剰な刺激が入ると、脳を興奮させ入眠を妨げます。

スマホなどのブルーライトが目に入ると、メラトニンの分泌が下がるといわれています。

喫煙はできればやめたほうがいい

寝つきを悪くするだけでなく、睡眠の質を低下させることが指摘されています。

砂糖の入った甘いものの摂取を控える

甘いものは脳に刺激を与え興奮作用があるので快眠を妨げます。

寝る直前に食事はとらない

インスリンを過剰に分泌させて交感神経が活発になってしまいますし、メラトニンの分泌を邪魔してしまいます。

次に、眠りにいいことを実践してみよう!

◇ビタミンB群を積極的に摂る

ビタミンB群には、自律神経を整える作用があります。

豚肉・レバー・納豆・うなぎやカツオなどの魚類、しじみ・あさりなどの貝類、卵などに豊富に含まれています。

これらの食材に加え、バナナや大豆にはメラトニンの原料となる必須アミノ酸も含まれています。

◇朝日をしっかりと浴びる

朝日を浴びることで、セロトニンというホルモンが分泌されます。

セロトニンが増えることで、メラトニンの分泌も促されます。

夜間のメラトニンを増やすには、太陽の光を浴びる必要があるのですね。

◇一定のリズムで行う運動をする

朝の散歩やジョギングを毎日10分からでいいので続けてみましょう。

リズミカルな反復運動を行うと、メラトニンの元となるセロトニンの分泌量も増えます。

休日にはゆっくりサイクリングやハイキング、水泳をやるのもいいですよ。

◇ベッドに入ったら呼吸法を行う

4つ数えながら鼻から静かに息を吸い、ゆっくりと8つ数えながら口から「ふー」と息を吐く。

これを5回繰り返します。

専門家に体のケアをしてもらう

自律神経のバランスを整えるために、専門の整体や鍼灸を受けることもいいです。

特に、脳の疲労を取り除き、α波が出やすくなるような頭への施術ができる整体がオススメです。

専門的にはクラニアルテクニックと言いますが、ホルモン分泌の中枢である脳下垂体へ刺激を与えホルモンバランスの調整ができます。

セルフケアをやってみて、それでもダメな場合は専門家の施術を受けてみてください。

 

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